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「ねぇぇぇ!僕貴女がいいのー!!ねえってばぁぁ!!」
「なぁ!アレ教えてくれよ!相手ぶん投げるやつ!!」
ヨコハマのど真ん中で、少年二人を両腕にぶら下げた少女が歩いていた。
彼女の顔は無で、しかし明らかにストレスがたまっていた。
「ねぇぇぇ!僕貴女に殺された…もがっ」
大声でとんでもないことを叫ぼうとした太宰の口を塞ぐ。
こんな現場を警察にでも見られたら職質どころの話ではない、警察署強制連行コースだ。
「ね、駄目?」
「絶対に駄目」
あざとくお願いする太宰をバッサリと振る。
隙あらば死のうとする思考回路は今と大して変わらない。
「な、アンタ、さっき相手の顎蹴り飛ばしてただろ?
しかも相手踏みつけて…もがっ」
「し、ず、か、に」
中也の口を塞ぎ、そして天を仰ぐ。
何故こうも、少年達はしつこいのか。
何故、こうもキラキラした目をするのか。
「ふむ…君は少年趣味だったのか?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには色のついた眼鏡をかけた背の高い男性がいた。
探偵風の格好をした、平坦な声の男。
「綾辻さん、違います」
「両腕に少年をぶら下げて何をしている?」
「…少し事情がありまして」
綾辻は相変わらず無機物を見るような目で少年二人を一瞥すると、
「まるで親鳥を見つめる小鳥のような目だな」
とだけ云った。
それがどうにも引っかかり、Aは何故こんな目をされるようになったか思い出す。
そうだ、男達を蹴って殴って泣かせた後からだ。
「なにか彼らの心を掴むような事でもしたのか?」
まさか、アレか?
過激すぎるアレのせいか?
アレで無垢な彼らの変な扉を開いてしまったのか?
冷たい汗が背筋に浮かぶ。
「す、みません…帰ります、うん…帰ります…」
責任感に押しつぶされそうになりながら、Aは少年二人を引きずって立ち去る。
それを綾辻はじっと見つめた。
「勘違いしているだろうが…彼らが心を奪われたのは君自身にだろう」
凛とした姿に惚れたか、綾辻は真っ青な顔で帰っていったAを思い出し、
楽しそうにくくっと喉を鳴らす。
「愉快だから黙っておくが」
その後、Aは「私はなんてことを…」と云いながら二人が戻るまで、
部屋の隅で体育座りしていたとかなんとか。
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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時