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死牙にせめてもの礼をする為、『うずまき』に連れてきた。
死牙は物珍しそうに店内を見ている。
恐らく年下であろう彼女の姿は、可愛らしかった。







「…おやまあ」







どうしてか、死牙を見たおばちゃんが何故か子どもの成長に感動する親のような、
それでいて親戚の叔母さんのような温かい目で肩を叩いたのは気のせいだと思いたい。
"友達いたんだね"という解釈ではないと信じたい。







「今回は本当にごめんなさい。
私の身内はちょっと…うん、ちょっとアグレッシブなんだ」







「見た目は凄く儚げに見えた気がする」







「中身はなかなか凄いから」







死牙は「成る程」と変わらぬ表情で頷く。
ボソッと"見た目詐欺か…"と呟いたのは気のせいである。






プルルル、プルルル…








「…ちょっとごめん」







死牙に断り、携帯を取り出す。
そこには『国木田』と表示されていた。
嫌な予感しかしない。







「…出ないの?」







「……出るけども」








ピッとボタンを押すと、聞こえてきたのは国木田の大声だった。







『A!!お前今何処にいる!?報告が予定より十一分も遅れているではないか!!』







「すみません、不慮の事故で」








『太宰がまた川に飛び込んだか!?』







「…身内の不始末を」







『…お前も苦労するな』







途端に同情的になった国木田に、Aは胃痛を覚えた。







「それで、要件は」








『あぁ、先日話した例の通り魔の犯人の顔が判った。今そちらにデータを送る』







届いたデータを確認する。
何処にでもいそうな顔立ちの、それでいて目だけは爛々とした男が写っていた。







「これが例の通り魔…」








死牙もAの携帯をヒョイっと覗き込む。
青い瞳がその写真をとらえる。







トントン








死牙がAの足をつま先で軽く小突いた。
Aがなんだ、と顔を上げると、彼女は右後ろに座る客の方へ視線をやる。
そこには、






「「あ」」








例の通り魔がいた。
しかも相手もこちらに気づいた。
通り魔が立ち上がる、Aが立ち上がる、死牙も立ち上がる。
通り魔が一歩下がる、Aが一歩進む、死牙も一歩進む。
均衡状態が続いたその時、通り魔が出入り口に向かって走り出した。







「チッ…!」








Aが舌打ちをし、太ももからナイフを取り出した瞬間だった。
目の前を、刃物が通り過ぎた。

*→←黒百合姫と白雪姫 […*☆紫猫姫☆*…様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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