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「…なんなのあの人」
ホラー映画で上下関係をしっかり理解させられた後、
太宰と中也は町外れの公園で何故かアイス片手にベンチに座っていた。
「訳判んない、なんでこんな子供っぽいの押し付けて仕事の電話に行くの」
「…知らね」
二人の手の中にあるアイスは、Aが「これ食べて大人しくして、いい?大人しくだ」と云って渡してきたものだ。
子供だからアイスで黙ると思ったのだろう。
完全に思考回路が自分たちを餓鬼だと思っている。
「映画の後無駄にセンスのいいカフェに連れて行かれるし、
なんか無駄に優しいし、でも怒ると容赦ないし」
「変に好み知ってんのも気味悪ぃ…」
太宰は今まで会ったことがない類の女性に、賢い頭を回しながら首を傾げた。
中也はアイスの残りを口に押し込み、考えることを放棄した。
太宰も中也も、子供扱いには慣れていた。
周りの大人は「子供だから」と舐めていたり、莫迦にしたりする。
だが彼女はそれとは違う。
まるで"守らなくてはいけない存在"を扱うように接してくるのだ。
それがどうにも、気味が悪い。
「うーん…」
最後の一口を口に放り込んだ太宰は、ふと後ろを向く。
同時に中也もその方を向いた。
そこには見るからに怪しい雰囲気の大人が四名ほど立っていた。
「こんな町外れに、そんな身なりで歩いてたら危ねぇって教わらなかったかボクら」
「ま、子供が大人も連れずに歩いてたのが悪ぃな」
彼らは下卑た笑みを浮かべ、太宰たちに近づく。
呆れるほどどうしようもない身の程知らずに、
太宰は嘆息し、中也は手をポキポキと鳴らした。
この程度なら返り討ちに出来る、そう思った。
「子供相手に大人が大勢だねぇ」
「情けねぇな」
そんな簡単な挑発に、大人達の顔は怒りに染まった。
なにかを叫びながら、一人が中也に殴りかかる。
重力で返り討ちにしよう、異能を発動させようとした瞬間、
「がっ…!?」
男の体が弾き飛ばされた。
ふわりと、僅かに優しい香りがした。
「…子供相手になにしてる」
不機嫌さを前面に出した、ぞっとする冷たい声。
太宰と中也の前に立ち、男を蹴り飛ばした女は二人の方を向き、そっと頭を撫でた。
「大丈夫?」
その表情は、まるで別人のように柔らかく、天使のように美しかった。
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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時