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ページ29

乱歩の言葉に、涙が出そうになった。
頑張り屋、自分と最もかけ離れた言葉。






「なんでも飄々とこなしてるけど、本当はやったこと無いものは素人だし、
それでも誰にも見えないところで努力してるんだよ」






大抵のことは一回やれば出来た。
それでも、努力は怠らなかった。







「愛想がないように見えるけど、大目に見てやって。
まだ僕の足元にも及ばないけど、ちゃんと探偵社員なんだよ」







ジワリと熱くなる目元を隠すように、紙袋で顔を隠した。
幼い日の痛みが報われた、そんな気がした。






「お兄さんが気にするようなことは無い、この僕が断言しよう」







「…貴方は」








「僕を知らないのか!?はぁぁあ、君は人生の八割を損してるぞ!」







乱歩はバッと手を広げ、高らかに宣言する。







「僕は江戸川乱歩!!
世界一の探偵だ!高校生探偵だろうとドンとかかってくるといい!」







安室はその名前に聞き覚えがあったのか、ハッとした顔をする。
そして、なにかを考える素振りをし、深いため息をついた。







「…あの江戸川乱歩さんがそう仰るなら」







安室は納得してくれたようだ。
軽く頭を下げ謝罪をされたので、Aもぺこりと頭を下げる。
今回は両方に非がある。






「よーし解決解決、まったく、お前も僕が居ないと本当に駄目なんだから!」







「あの、ありがとうございました乱歩さん」







「こちらも大変失礼しました、お詫びにポアロでお茶でもいかがですか?」







安室がにっこりと笑うと、Aは菓子袋を抱えて乱歩の方を向いた。
ジェスチャーで『私が奢りますよ』と云っている。
乱歩はじっとそれを見つめ、







「いや、今回はいいよ。
そのまま探偵社に帰るぞーほら行った行った」








珍しく断り、Aをグイグイと大通りの方へ押す。
去り際、乱歩は安室の方をチラリと向いた。







「じゃあね、"国を守る"探偵さん」








安室は目を丸くしたが、同時に乱歩は敵では無いと理解した。
そして、今までの緊張が莫迦らしくなり、肩を落とす。






「はぁ…この件は見送りだな」








探偵二人は既に安室の前からは立ち去っていた。
去り際、乱歩と話をするAの姿は、







「普通の少女にしか見えない、な」








屈託のない、十八歳の少女だった。
安室は困ったように笑い、そして二人とは別方向に進む。
彼もまた、この街を守るために。

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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