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敦は占い師だ。
あまりルールもよく知らないのに重要な役職を引いてしまった。
だからこそ、市民サイドであるAが代わりに占い師役をやってくれたのはとてもありがたかった。







『このまま太宰さんに投票すれば僕らの勝ちじゃないか』







人狼の最後の悪あがきか。
いや、あの太宰がそんな真似するか?
頭の回転が速く、人心掌握術に長けた太宰が。







『一回、数を合わせて考えてみなよ』








ふと、脳裏に響いた乱歩の言葉。







『なにも可笑しい事は無い、Aちゃんは市民サイドで、鏡花ちゃんも』







「あれ…」







敦は、ふと気づいてしまった。






「僕が占い師で…鏡花ちゃんとAちゃんのどちらかが騎士で…』







可笑しい。
二人のうちどちらかは必ず騎士だ。
なのに、そう考えると"数が合わない"。







『初日に死んだ谷崎さんとナオミさんのどちらかが妖狐なら二人死亡は納得がいく』







敦は、二人のうちどちらかが妖狐だと思っていた。
妖狐は襲撃の際人狼を一人道連れにし、占い師に占われると死亡する。
昼の会議で追放されても道連れが起こるが、これは無かった。







『どうして忘れていたんだろう』








その仮説で考えるとAの役職は恋人になる。
恋人の役職は、片方が死ぬともう片方も死ぬ。
今までのターンで恋人らしい死は確認できなかった。








『だから僕はAちゃんと鏡花ちゃんが恋人だと思ったんだ』







でも、それはあり得ない事。
何故なら、昨晩、騎士は相手を守ることに成功している。
残っている人数は四人。
人狼、騎士、占い師、恋人二人、足せば五人。
"数が合わない"のだ。







「…Aちゃん」








ずっと占い師を任せていた。
だが、敦は一度も彼女の占いをしていない。
疑うべきだった、占い師を代わりにやろうと名乗り出た彼女を。







「Aちゃんの役職って…なに?」









彼女は恋人では無い、そして、もし仮に谷崎兄妹が"恋人"だったとすれば。







「まさか…」








鏡花も気づいたようだ。
"恋人である谷崎兄妹を妖狐の死"に見せかけた彼女の役職に。








「…もう取り繕うのは無駄か」








ずっと俯いていたAは、敦達の方を向いて口を開いた。







「御察しの通り」







Aは、狐のように手を丸め、「コン」と鳴いてみせた。







「私が妖狐、第三陣営の狐だ」








三つ巴の戦いが、幕を開けた。

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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