【文スト】この世界と番外編 その十五

＊ ページ16

「どうしてあの時、谷崎が、なんで云ったんですか？
死んだのは二人なのに、まるで襲撃先を知っていたような口ぶり」






「いや、俺は占い師だからそれで…」







「それは可笑しいです。
貴方が占い師なら、谷崎さんかナオミのどちらかを占った上でのあの発言なら理解できますが…ね」







「なるほど！つまりこの発言は人狼サイドでないとあり得ない…って事ですね！」







「人狼でなくても、狂人の可能性もある」






国木田に占われた鏡花すらも話に乗ってくる。







「でも国木田が人狼だったとしたら先刻僕が話した三パターンがどれもあり得るぞ」







「だとしてもあの発言は怪しすぎますけどねぇ」







「なっ…」







太宰の言葉に国木田は動揺を見せる。
彼は弁解しようとしたが、もう無駄だった。







「本日の処刑は、国木田さんです」







「くっ…」







死亡者は部屋の外に追放される。
国木田は哀愁漂う背中を見せながら、部屋から出て行った。






『さて、これで多くの者は"二人が人狼か妖狐"だと思うだろう』







夜のターン直前、敦の手のひらに指示を出す。
そして、朝を迎えた。







「本日の犠牲者は…居ませんでした」








「へ！？何故！？」








「敦君、騎士が守るのに成功したんだよ」








「つまり騎士はまだ生きてるって事だねぇ」







これで市民サイドは誰も削れていない。
そして、今晩から霊能者の結果が出る。







「昨日の夜、国木田さんの結果が出ました。結果はシロでした」







「妾もだよ」








「となると人狼はまだ一人、最高で二人残っている…」







本来、処刑した国木田がシロ判定ならAは疑われる。
しかし、昨日の時点で狂人の可能性も匂わせていた為、真っ先に疑われることは無い。







『それよりも、人狼を見つけられた事に喜ばないと』







背筋を伸ばし、「占い結果が出ました」と言葉を続ける。






「占い結果の前に一つ」







乱歩が立ち上がる。
彼は生存者を見渡し、そして翠眼を僅かに開いた。







「役職持ち、よく聞け。
"よぉく考えてから相手を選べ"。
でないと、あっという間に化かされるぞ」







彼はまるで自分がこれから処刑されるような口ぶりで。







「重要役職が吊るされても敵わない。
今日は僕に投票しろ、それで明日明後日決着をつけろ」







乱歩の言葉に、皆が言葉を失ったのは云うまでも無かった。

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