検索窓
今日:57 hit、昨日:70 hit、合計:393,179 hit

二百八十話 [操る] ページ32

向かいのソファーに座らされ、Aはシグマをじっと見つめた。
手は後ろで縛られているが、口は自由になった。
しかし、声ひとつ出せないのは大きな機関銃の銃口がこちらを向いているから。



「妙な真似をした瞬間、撃たせてもらう」



対面に座るシグマの顔色はあまり良くない。
まるで、魔女の娘という存在に怯えているようだった。



「…まず、話したいのはひとつ」



シグマの長い髪が肩からこぼれる。
秘密を唇にのせ、彼は告げる。



「《天人五衰》に協力する気は無いか」



「!!」



なにを莫迦な事を、ふざけているのか。
そう叫びのをぐっと堪えた。
あんな真似をした彼らに手を貸せと?



「…その様子では答えはNoのようだな」



「…笑わせんな…誰が、お前達に」



お前達のせいで、仲間がバラバラになっているのに。
憤怒に震えながらも、喉元を静かに狙うような怒りを見せるAに、シグマは再度口を開く。



「このままでは、母親と同じ末路を辿ることになってもか」



「…は?」



「己の異能にその身を滅ぼされると判っても、その力を使うのかと聞いているんだ」



己の異能に、身を滅ぼされる?
喉が嫌な音をたてて上下した。



「やはり、知らなかったようだな」



シグマが足を組み、手元にあった資料を見る。
そこには、魔人から渡された情報が記載されていた。



「異能を操る、それはお前の異能が持つ一部でしか無い」



シグマの目の前にいるのは、それを上回る規格外の化け物。
全てを支配しうる力を持った、魔女の生き写し。



「【神々の国の首都】は…異能を操るのでは無く」



その真実が告げられる。



「"異能力者の精神を操る異能"だ」



「…ッ、!?」



動揺で一瞬、地面が揺れるような感覚に襲われた。
異能力者の精神を操る、たしかに彼はそう云ったのに頭が受け入れてくれない。



「対象の精神を操ることで、強制的に異能を発動させている。
今現在までお前がそれを知らなかったのは、異能を制御する異能によりブレーキがかけられていたからだ」



福沢の異能で、Aの異能は抑えられていた。
あまりにも強すぎる力だから。



「異能の中で最も忌み嫌われる"精神操作"の異能…それがお前の異能の本当の姿だ」



相手の精神を、知らぬ間に操る異能。
それこそが、神々の国の首都の本当の姿。



ー全てを支配する、魔女の力ー



そして、代償無き力など、存在しない。

二百八十一話 [宣告]→←二百七十九話 [賞金首]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (641 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3221人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さんしょくだんご(プロフ) - この作品の中の文章の数々に心をうたれました。素晴らしい作品を本当にありがとうございます (7月24日 1時) (レス) @page49 id: 9ce43d97c3 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 田中りんさん» コメントありがとうございます。小泉は「これすごく便利では」と思い、喜んでいました。某幹部さんは爆発した瞬間、元相棒の仕業だと気づきました。メリークリスマス、そして良いお年を。 (2020年12月25日 19時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
田中りん(プロフ) - 初コメ失礼しますー 銃で喜ぶ小泉ちゃん…私もエアガンとか大好き人間なので人のこと云えない…某幹部さんは完全なるとばっちりですねwwメリークリスマス&良いお年を!! (2020年12月25日 0時) (レス) id: 59051e49c3 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まっちょりさん» お久しぶりです。楽しみに待っていてくださりありがとうございます。皆様を楽しませることができる続編をかけるように頑張ります。応援よろしくお願いします。 (2020年12月18日 23時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪月さん» お久しぶりです。待っていてくださりありがとうございました。20巻は驚きの嵐でした。 (2020年12月18日 23時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2019年5月18日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。