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特務課への助っ人 [nyabixi@ノーアル団様リクエスト] ページ45

「はい?今なんと」






「…暫くの間、異能特務課へと行ってはくれないか」






社長室に呼ばれたAは、福沢の言葉に怪訝な顔をし、
そして「なぜ…?」と小さくぼやくのだった。







「え?特務課に!?」







「とうとう母親関連の尋問が来たか…」







Aは小さなダンボールに荷物をまとめながら、敦にそう云った。
突如、特務課から『小泉Aを暫く貸して欲しい』と依頼が来たそうだ。
その時に真っ先にAが思ったことは『証拠隠滅』『尋問』『存在抹消』という言葉のオンパレードだった。
母親が生前、特務課どころか国規模で色々やった為、
いよいよ年貢の納め時かと、拳銃の弾数を確認したほどだった。







「尋問の果てに口封じか…」








「特務課ってそんな怖いところなの!?」








「だって色々やらかしてるし」








「…い、生きて帰るよね…?」







Aは答えなかった。
ただ特務課から依頼が来ただけなのに、気分は処刑台に登る囚人だった。







「Aさん、特務課に行くそうですね!」







「賢治」







「左遷ですか?」







「さ…」








「賢治君、この場合は出世かな」







「へぇ!Aさん出世するんですね!おめでとうございます!」







「賢治…うん、なんかもうなんでもいいや」







Aは最後の荷物を入れ終えるとダンボールに封をした。
途中、怪しげな瓶や袋を入れた気がしたのは気のせいだろう。







「A…頼むからなるだけ早く帰ってこい。
お前がいないと、やはり場の空気が違う」








「国木田さん…」








国木田がやたら悲しむ。
だが、それは別れを惜しむというよりは。







「…その心は」








「お前がいなくなると太宰の後処理で俺の胃に穴が開く」







Aはこの時、同じ苦労人として国木田に同情すると同時に半年ほど行方不明になろうかと思った。
ジト目を向けつつ待っていると、特務課の迎えが来た。
すると、太宰が声をかけてきた。







「Aちゃん」







「はい」







「安吾によろしくね」








そう云うと太宰は手をふり、ニコリと笑った。
安吾、坂口参謀補佐官のことだろうか。







「…はい」








そう云ってAは小さく頷き、車に乗り込んだ。
まるで古い友人を呼ぶような、そんな声だった気がした。

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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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