中原幹部の誕生日 ［ここ様リクエスト］ ページ35
(リクエストの内容上、順番を変えました。ご了承ください)
その日、四月二十九日は彼、中原中也の誕生日であった。
首領である森から早めの仕事上がりを云い渡され、上機嫌で自宅に帰った。
いつもより上等のワインを開け、さぁ飲むぞと云う時、インターホンが鳴った。
「あ？なんだこんな時間に」
玄関に出てみると、それは荷物業者だった。
やたら大きい、棺桶かと云うくらいの大きな箱だった。
業者から渡された紙には、姉貴分である尾崎紅葉からと記されていた。
「はっ…んだこれ…姐さん勘弁してくれよ…」
持ち上げるが、なかなかの重さだった。
なんとか部屋に運び終えると、その重さがだいたい人の重さだと気づく。
一抹の不安を抱きながら開け…そして彼は柄にもなく変な声を上げて飛び退いた。
「は！？え…お前…！」
「ん〜ッ」
そこには、手足を縛られ、猿轡をされたAがいた。
第三者から見られれば一発通報の、犯罪の香りしか無い光景である。
「ちょ、ちょっと待て！今取るから」
急いで拘束具を外すと、Aはわずかに震えながら呟く。
「い、いきなり後ろから金色夜叉に捕まった…異能すら使えなかった…気づいたら箱に…うっ」
「判った、もう判ったから思い出すな。
悪かったな、まじで、いや本気で悪かった…」
箱の中に『happy birthday』と紅葉の字で書かれた紙が入っており、確信犯だと断定した。
しかも、森がやたら楽しそうだった辺り、彼も関係者なのだろう。
中也が床につける勢いで頭を下げているとAの目がその紙に止まる。
「…誕生日、なんですか今日」
「ん？あぁ。…ま、俺自身もよく知らねぇけどな」
人は、生まれた日を誕生日とする。
だがそれは親や周りの人間が覚えていて初めて成立する。
生まれたばかりの赤子が自身の生まれた日を覚えているはずもないのだ。
「俺は親が居ねぇ、だから誕生日なんざ覚えてねぇんだよ」
Aはその言葉にわずかに目を見開く。
恐らく親がいるであろう彼女の前でする話では無いと、中也は気まずくなってしまった。
「悪ぃな、変な話しちまって」
「私と似てますね」
Aはいたって平然と、まるで今朝の天気でも告げるようにそう答えた。
その横顔は、ひどく大人びて見えた。
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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (
レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
あ - すみません、「あの娘は誰の子？」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます！頑張ってください！(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年4月6日 19時
