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まず、芥川をAの手合わせ相手に選んだところから思えば大失敗をしていた。
異能という武器に誇りを持っている彼からすれば、それを操るAは気にくわないのは当然だ。
事あるごとにトゲのある言葉をぶつけられれば、Aは端正な顔を僅かに歪めた。
そこで、中也は云ってしまったのだ。






「立場云々は無視して、好きなようにやれ」






その、一秒後のことだった。
神々の国の首都で羅生門を封じたAが芥川をぶん投げたのは。
飛距離は凄まじく、宙を飛んだ芥川はそのまま壁に激突し気絶した。
その間、ほんの三秒。
中也は勿論、付き添いの樋口は絶句どころではなかった。
こいつ、やりおったと。






「スッとした」






手首をポキポキ鳴らしてそう云ったAの噂は瞬く間に広がった。
あの芥川をぶん投げた新人と。
以前まで顔で取り入った女という噂を流していた奴は綺麗に態度を変えて頭まで下げる始末。
それだけAS事件の効果は凄まじく、それが芥川とAの記念すべき第一回の衝突であった。







「ほんと、度胸あるよな…」







凄まじい勢いで書類の整理をするAを見つめて呟く。
見た目こそゾッとするほど綺麗だが、中身はそれに似合うほどの気の強さと気高さ。
マフィアに向いている、凛とした花。
紅葉はかつてそう云っていた。
命令一つで異能を従える魔女のような存在。






「…あの、私の顔になにかついてますか」







怪訝な顔をするAは、普通の少女にしか見えない。
強くとも、普段は普通の十八歳の少女なのだと知ることができるこの瞬間は嫌いではなかった。






「いや、それより今日暇か?どっか飯食いに行こうぜ」







「あぁ、今夜は紅葉さんと彼女の妹分とで出かける用事が」







「…明日は」







「明日は梶井さんの爆弾の威力を調べる約束が」







「明後日はどうだ」






「明後日は黒蜥蜴の面々と作戦の打ち合わせが」







「なぁ!手前は"俺の"部下だよな!?」








その言葉にAは紫の目をキョトンとさせ、首を傾げた。






「はい、私は貴方の部下、つまり貴方のものです」






それが何か。
深い意味ではないのに、中也はその言葉に思い切り頭を机にぶつけた。







『あー、もうこいつ本当に…あああ!』







中也の奇行にAは原因が自分とは知らずにギョッとしていた。
これは、もしかしたらあったかもしれない、ポートマフィアの話である。

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もこすけ(プロフ) - 白織さん» コメントありがとうございます。あの二人は小泉も混ざるとかなりカオスになります。もう少し続くのでお楽しみに。 (2019年1月6日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
白織 - リクエストありがとうございます!最初からカオスで笑いました。これからどうなるのか楽しみです! (2019年1月6日 17時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます。中也さん、混乱して語彙力低下してますね。笑っていただけて良かったです。 (2019年1月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 中也の「…ごめんちょっと訳判らねぇや」で、吹いた(ノ∀≦。)ノ (2019年1月6日 17時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 玲衣さん» コメントありがとうございます。制服で夜の街を歩いたせいで太宰さんが死ぬほど職質を受けた事件です。危ない絵面に見えたのでしょう…。 (2019年1月4日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年12月9日 11時

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