【文スト】この世界と番外編 その九

ポートマフィアの小泉 ［桜様リクエスト］ ページ8

(これはもし小泉が探偵社員ではなくポートマフィアだったらという物語です)
ヨコハマの裏を支配する、ポートマフィア。
その本部ビルの執務室で一人仕事をしているのは、幹部である青年。
小柄ながらもポートマフィア幹部を務める中原中也だ。
するといきなり。






ガッ、ガシャン！！ゴッ、ズドン！！






凄まじい破壊音が鼓膜を震わせた。
襲撃、少し前の彼ならそう考えただろう。
だが今の中也はこの音の原因が外部ではないことを知っていた。
部屋の扉が勢いよく開かれ、入ってきたのは息を切らせた広津。





「…一応聞く。暴れてんの誰だ」






「いつもの、お二人です…」






「ああああ！矢ッ張りなァ！！」






髪をガシガシとかき乱し、部屋を飛び出す。
下の階についた瞬間、中也は殺し合いをしている二人に声を張り上げた。






「芥川ァ！！A！！手前ら訓練場飛び出して暴れてんじゃねぇ！！」






幹部である中也の怒声に、羅生門を喉に突きつけていた芥川は舌打ちをして異能を解除し、
黒い制服を着た少女は芥川の胸ぐらを掴む手を離し、血のついた口元を拭った。
そして、双方忌々しげに舌打ちをすると漸く鎮火する。






「…で？」







半壊した廊下で正座させられるのは、ポートマフィアきっての異能者芥川と、
最近ポートマフィア入りをした中也の部下の少女。
恐ろしく整った顔立ちと紫の目が特徴的な少女の名前は小泉A。
中也の部下である彼女も、芥川も怪我だらけだった。
それを踏まえ、中也は腕組みをして問う。







「先に手ェ出したのどっちだ」







その言葉に、芥川は舌打ちをして目をそらし、Aは芥川を横目で見つめた。
ここでAが先なら、彼女は潔く名乗り出る。
今回は芥川が先だったらしい。
だが芥川に話す気配が無いので、近くで見ていた樋口に聞いた。






「えっと、芥川先輩と彼女がぶつかりまして…
それであちらは謝ったのですが…先輩は機嫌が良くなく、ですが先輩が悪いわけでは！！」






その後、要約すると芥川はぶつかったことで舌打ちをし、謝るAを無視した、しかも鼻で笑いながら。
それに対しAがボソッと「小さい男…」と呟いて乱闘に発展した。
廊下では迷惑ということです訓練場に行ったが、ヒートアップして壁を吹っ飛ばしたらしい。
それを聞いて中也は叫んだ。







「手前ら餓鬼かよ！！」







噂によると、その叫びは最上階の首領の部屋まで聞こえたらしい。

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