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どうぞ、と外套に包まれた胸元が開けられた。
ドストエフスキーの涼しげな表情に対して、
Aは険しい表情で漸く一歩、前に出た。
一歩一歩、色んな感情でぐちゃぐちゃに頭を動かしながら
漸く彼の前に立った時には三分経過していた。







「どうぞ?」







「…云われなくても」








色んな考えを振り払うように、ドストエフスキーの体に触れた。
震えを隠した手を背中に回し、アンタもやれ、と睨めば彼も背中に手を回してきた。
あれ、と目を見開く。
だって、彼に抱きしめられた時自分の体がひどく小さく感じたのだから。
男女の体格差は判っている、でもこれは予想よりずっと。







「自分が小さいと思いましたか?」







愉悦を感じる声に、小さく視線をあげると紫と目が合う。
その鼓膜を撫でるような声に、つい反射的に逃げようとするが
体が抱きしめられているせいで逃げ出すことは出来ない。







「貴女程度なら、ぼくでも簡単に隠せてしまえるのですよ?」







こんな風に、と彼は肩にかけていた外套をAにかけて体を隠して仕舞う。
魔人は衝撃に目を見開く少女に微笑みかける。







「このまま攫って仕舞うのも素敵だと思いませんか?アーンギル」







ヒタリと、冷たいものがAの首筋に触れた。
見なくても判るそれは…ナイフ。







「この部屋を出た後、どうしましょうか」







抵抗すればどうなるか。
賢い貴女ならば判るだろう。
そんな意味を込めてナイフを肌に滑らせれば、Aは…赤い唇をあげた。







「それは、こちらの台詞」








全く同じ冷たさのものが魔人の首筋に当てられた。
怪しく光る銀色のナイフ、それがAの手に握られて。







「…ふふ、考えることは同じ、というわけですか」







「出勤前に同居人に持たされたものだ。…油断しなくて良かった」







互いの首に当てられた凶器。
いつのまにか一分は過ぎて、永遠のような時間が流れる。
紫と紫が見つめ合い、どちらかが動こうとした時。







「はぁいドス君ここに居た大丈夫かなって…なにこの状況!?」







道化師のような男が入ってきて抱き合いながらナイフを突きつけ合う二人に悲鳴をあげる。







「お取り込み中!?じゃあ出直すね…」







「させるか」








「痛ッ、ちょ、この子撃った!!今躊躇いもなく撃ったよ!?」








「タイミングが悪過ぎましたね」








「いやぁああ!取り敢えず止めてェェェェ」

罪人候補(?)と猟犬部隊 [ユキ様リクエスト]→←魔人と出られない部屋2 [竹薮様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - 白織さん» コメントありがとうございます。あの二人は小泉も混ざるとかなりカオスになります。もう少し続くのでお楽しみに。 (2019年1月6日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
白織 - リクエストありがとうございます!最初からカオスで笑いました。これからどうなるのか楽しみです! (2019年1月6日 17時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます。中也さん、混乱して語彙力低下してますね。笑っていただけて良かったです。 (2019年1月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 中也の「…ごめんちょっと訳判らねぇや」で、吹いた(ノ∀≦。)ノ (2019年1月6日 17時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 玲衣さん» コメントありがとうございます。制服で夜の街を歩いたせいで太宰さんが死ぬほど職質を受けた事件です。危ない絵面に見えたのでしょう…。 (2019年1月4日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年12月9日 11時

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