【文スト】この世界と番外編 その九

＊ ページ38

Aのゲーム惨敗から三日後。
再び暇が訪れた昼下がり、Aがいきなり太宰の机をバァン！と叩いた。







「ひえっ…私なにかしたっけ…心当たりが…いくつもあるぅ…」






さりげなく国木田の服を掴んで道連れにしようとする太宰。
国木田も、Aの被害を受けたくない為か必死に小声で「離せ頼むから離せ」と叫ぶ。
いつ爆発するか判らない恐怖の爆弾と化したAは一言。







「もう一度対戦してください」







「ゑ？」







頭の中でAが怒る理由を探していた太宰は素っ頓狂な声をあげた。







「…つまり、先日のリベンジがしたいのだね」







「はい」







「よかった…いよいよ刺されるかと思った…」







ゲームの準備をしながらそんなことを云う太宰に、谷崎は「心当たりあるンですね」と苦い顔をする。
だが内容はゲーム、可愛いものだ。







『負けず嫌いとは知っていたけど、ここまでとは』







自分のキャラを装備させ、ゲーム開始を待つ。
負けず嫌いだな、と太宰はクスリと笑う。







「さぁ、返り討ちにしてあげよ…う？」







太宰だけでなく、敦や谷崎も動きを止めた。
だって、この前見たAのキャラが…凄まじい変化を遂げていたのだから。







「よろしくお願いします」








そうこうしているうちにゲームがスタートする。
Aが操作するキャラクターが大振りの剣を振り上げた。







「ちょ、ちょっと待って！なにその装備！見たことないんだけど！！」







「見たことない邪気を纏ってるよそれ！」







「ひっ…レベルがMAXになってる！？」







ヒョロヒョロだったアバターが筋骨隆々、装備は激レアばかり。
レベル1からMAXに変貌を遂げた姿に三人は唖然とした。
Aは、







「逃げ惑え、ただし必ず仕留める」







ハッと嘲笑うように敦のアバターを真っ二つにした。
負けず嫌いに火をつけた結果だった。







「あー！待って！そんなので攻撃されたら一撃で！」








抵抗虚しく、Aの次にレベルが高い太宰は一瞬でやられた。
そして、谷崎もあっという間に消された。







「…スッとした」








勝利の文字を見て、Aは漸くいつもの表情に戻る。
負けず嫌い、故にレベルMAXになるまで練習したらしい。







「あーあ、だから負けず嫌いに火をつけると面倒なのに」







惨敗した男達を踏み潰すAを見て、乱歩はまあ関係ないけど、と駄菓子の袋を開けた。

魔人と出られない部屋２ ［竹薮様リクエスト］→←負けず嫌いに火をつけると ［涙痕様リクエスト］

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