＊ ページ23
天才数学者の女性は、驚くほど穏やかな人だった。
ふわふわとした笑顔を浮かべ、否定せず受け入れてくれるような母性に溢れた人。
裏を返せばダメ人間製造機で、危うく国木田が取り込まれそうになった。
「居候なのにお仕事がないなんて悪いです。資料の計算ならお力になれるかもしれません」
そう云ってお願いをしてくる女性は、穏やかな笑みだったが瞳の奥には数学がしたいという欲望が爛々と光っていた。
Aは一瞬考えつつ、彼女に使っていないパソコンを渡す。
「あの、ついでで良いので最近設定し直した探偵社の暗号の確認してもらってもいいですか」
「暗号！勿論です！！」
ハッキング対策で書き換えた暗号のパスワード。
数学が得意なら暗号を計算し、答えが判るはず。
穴がないかの確認の仕事を頼んだら嬉々として引き受けてくれた。
…そこで、気づけば良かった。
天才は変人が多いのだと云うことを。
「…ん？」
仕事を与えて一時間後、いやに静かな女性が気になり、チラリとパソコンの方を覗いて、飲んでいた珈琲を吹き出した。
そこには、ちらほら見覚えがある異能特務課の者達の写真と経歴がずらりと並んでいた。
「まさか…特務課にハッキングしかけた…！？」
「簡単に解けました」
ニコリと微笑む女性に、Aは眩暈がした。
政府機密組織のハッキング、大問題の予感に冷や汗が出ると同時に、社に備え付けの電話を握りしめた谷崎が飛び込んでくる。
「Aちゃん！！」
「今度はなんですか！」
「マフィアがハッキングとはどういうことかって…」
その言葉にまさか、と女性の方を見ると、彼女は首を傾げた。
切り替わった画面には、マフィアの構成員の情報がずらり。
Aは膝から崩れ落ちる。
「ど、どうする…？」
「…と、取り敢えず私が対応します…もうじき特務課からも電話が…」
その瞬間、社の電話が鳴り響いた。
間違いなく特務課からのそれに、更なる頭痛を感じる。
「あの、あと時計塔の従騎士っていう組織のも突破できそ…」
「やめろ！！」
「あと死の家の鼠っていうのと…」
「誰かこの人縛って閉じ込めて！！」
その後、女性をこの世界に飛ばした犯人である雪が迎えに来るまで彼女の暴走は続き、
ポートマフィアや異能特務課すらも巻き込んだ騒動に発展しAがとうとう絶叫するまでに至った。
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もこすけ(プロフ) - 白織さん» コメントありがとうございます。あの二人は小泉も混ざるとかなりカオスになります。もう少し続くのでお楽しみに。 (2019年1月6日 18時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
白織 - リクエストありがとうございます！最初からカオスで笑いました。これからどうなるのか楽しみです！ (2019年1月6日 17時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます。中也さん、混乱して語彙力低下してますね。笑っていただけて良かったです。 (2019年1月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 中也の「…ごめんちょっと訳判らねぇや」で、吹いた(ノ∀≦。)ノ (2019年1月6日 17時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 玲衣さん» コメントありがとうございます。制服で夜の街を歩いたせいで太宰さんが死ぬほど職質を受けた事件です。危ない絵面に見えたのでしょう…。 (2019年1月4日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年12月9日 11時
