＊ ページ10
薄暗く埃っぽい廃工場に男達がたむろしている。
中には女もいるが、いずれも他人から奪った金品を見て下品な笑みを浮かべていた。
「…スタート」
突然三つある出入り口のうち二つが音を立てて閉まった。
突然のことに彼らは動揺し、拳銃やら短刀やらを持つ。
すると、男の一人が不自然な寒気を感じて、不意に後ろを向いた。
瞬間、
「う、うわぁぁぁああ！！」
響き渡る悲鳴。
男の目の前には、能面のような顔をした巨大な女が立っていた。
いや、立つというより揺らいでそこに存在している。
男の悲鳴を皮切りに、他の者達も恐怖に声を上げた。
「第一段階クリア、第二段階に移行する」
恐怖に各々が悲鳴をあげる中、室内を照らしていた照明が何かに撃たれたように消えた。
ほとんど半狂乱になった者達は、唯一開き、光を差し込ませている出口に走る。
「第二段階クリア、第三段階…行け」
ゆらりと、彼らの目に強烈な白が映る。
白い容貌の中に、金色の獰猛な目が光る、虎。
牙をのぞかせるそれを撫でるのは、ゾッとするほど美しい少女。
「『月下獣、吠えろ』」
瞬間、虎は咆哮した。
その唸りは恐怖に飲み込まれた彼らを戦慄させるには十分で悲鳴ののち、全員が失神。
全員の気絶を確認すると、Aは撫でていた虎に声をかける。
「『月下獣、人間に戻れ』」
すると、白い獣が光に包まれ、白い髪の青年が現れる。
彼は暫く疲れたように膝をつくが、すぐに目の前の惨状に絶句した。
「恐ろしい…」
「暗闇の奇襲作戦、良かったと思うけど」
一生モノのトラウマを受け付けたAにその片棒を担がされた敦は苦い顔をする。
すると、奥から夜叉白雪を操っていた鏡花が歩み寄ってきた。
「こういうやり方、初めて見た」
「楽だよ、前に国木田さんに『犯人に同情する』とか云われたけど効果はある」
「…むごい」
「あれだけの事やったんだから覚悟は出来てるでしょ」
広がる惨状に、敦はある意味太宰とは別の容赦の無さを感じた。色んな意味で。
「この後何処か寄ろうか」
「橘堂」
「早くない！？切り替え早くない！？そして高い！！」
犯人達を縛り上げた乙女二人に敦は叫び、そして結局橘堂に連れていかれた。
三人組の初仕事、内容はかなり濃く、そしてAを敵に回したくないと思った。
呪われた人形と除霊(物理) ［ヒカル様リクエスト］→←魔女の娘と兎と白虎［夜叉夜叉様リクエスト］
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます！作品とても楽しみです！ (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん，ｍさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年10月28日 18時
