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日々刺客に狙われるマフィア幹部である中也は、その日も路地を通って街を歩いていた。
すると偶然現在進行形で惚れている女、Aに会った。
そして今日のAは様子がおかしかった。





「…」






「おい、どうした?」






地面に座り込んだまま、Aは中也をじっと見上げる。
その瞳が仄かに熱を帯びていて、なんとなくいけない事をしている気分になった。
その熱が、本当に風邪で熱があるせいだとは中也は哀れにも知る由もないが。
Aは暫く中也をじっと見つめると、ふと、やけに艶っぽい声でつぶやいた。







「…中也、さんかぁ…」






その声はあまりにも熱があり、中也は煩悩を打ち消す為に壁に頭をぶつけた。
壁はクレーターのようにえぐれ、パラパラと破片が落ちる。
なんだあれ、なんかこっちが悪いことしてる気分だ。





「おい、手前なんか今日変じゃ…」






「私がですか…?」







ここら辺まで来ると熱のせいで頭がまともに回らなくなっていて、
ぼんやりとしたまま会話していると本人も気づいていない。






「別にどこもおかしくなんか…」







その時、Aの体が倒れた。
それを中也は慌てて抱きとめ、そこで彼女の体が異常なまでに熱いことに気づいた。
まさかと思い、手袋を外して額に手を当てる。







「熱ッ…手前熱あんじゃねぇか!」







「え…あぁ…そうでした…」







「そうでしたじゃねぇだろ、おい大丈夫…か…」







中也の手に、Aの白い指先が絡まる。
熱を持った手で中也に触れたAは、男らしさがある手を自分の頬に当てた。
手から、不自然なまでの熱が伝わってくる。







「熱いでしょう…?」







子猫が親猫に擦り寄るようで、それでいて女特有の艶かしさを残した声にゴクリと喉鳴った。
無意識故のとんでもない攻撃に中也は立ち竦み、そして仄かに赤い顔のAから目が離せないでいた。







「お、おいA…」







名前を呼ぶと、Aはふにゃりと笑い、なんですか、と顔を近づけてきた。
あ、まずい、そう思うのに突き放さないでいる中也は、ふと路地の奥にとんでもないものを見つけた。
それは、浮気現場を見たような顔をする、大嫌いな元相棒。






「おまわりさぁぁぁん!!ここに未成年に手を出す不届きものが!!」







「ち、ちげぇよ!!」







ギャンギャン騒ぐ双つの黒をぼんやりと眺め、Aは『なんでこんな騒いでるの』と無責任なことを考えた。

*→←風邪の時はちゃんと休みましょう [有栖様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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