＊ ページ19
「…ここ何処でしょうか」
「何処だろうねぇ…」
「なんで僕らこんなところにいるんでしょうか」
「なんでだろうねぇ…」
敦の嘆きを太宰がうふふと笑いながら返す。
隣では国木田が顔を覆って脱力し、谷崎が目を白黒させている。
目の前に広がる街並みは、ヨコハマではない何処か。
あの太宰ですら見覚えがなく、何故ここに来たのかも判らない。
一つ判る事は、いきなり鏡が光り、気づいたらここに居たと云うことだけ。
「…少なくとも、私達が居た世界ではないよ」
「え…」
「見たまえ、月が欠けている。
昨日の晩は満月だった。ここまでの変化は可笑しいよ」
「では…ここは異世界なのか？」
「はっ…あんなところに美しい女性が…」
「真面目に答えろ！！」
つい国木田が怒鳴ると、通行人がギョッとする。
国木田はすみません、と頭を下げつつ太宰を睨んだ。
だが当の太宰は国木田の声に驚いた女子高生ににっこり笑って手を振る始末。
しかも相手は顔を赤らめるのでたちが悪い。
「あれ…あの制服…」
何かに気づいた敦は虎の目を使って行き交う学生の制服を確認する。
そして谷崎も気づく。
赤いスカーフに黒いセーラー、何処か見慣れた制服。
あれは、
「あれ、Aちゃんが着ていた制服と同じものだ」
「…おい待て、となるとここは…」
太宰はにっこりと笑って、街の一角、忘れ去られたように貼られているポスターに視線を向けた。
行方不明者のポスター、そこには
「どうやら、あの子が元居た世界らしい」
今より冷たい印象を受ける、出会った頃のAが写っていた。
それは、この世界で彼女が行方不明者という事実を表していた。
「待て、一回待て…頭痛がしてきた」
「国木田さん…これどうします…？」
「さー敦君、元の世界に戻る方法を探したまえ！」
「えぇ！？無理ですよ！！」
ワーワー云い合っていると、黒いセーラー服を着た女子高生二人がポスターを見て、少女特有の高い声で話し始めた。
「あの子まだ見つかってないんだ」
「小泉さんでしょ？結構有名だったよねぇ」
「悪い意味で、ね」
きゃははと笑う、少女達の聞くに耐えない話に敦は顔をしかめた。
「でも正直居なくなった時思ったよね…ざまぁみろって」
彼女の周りは敵しか居なかったという事実に、胸が痛くなった。
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます！作品とても楽しみです！ (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん，ｍさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年10月28日 18時
