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誕生日なんて、正直嫌いだった。
自分の罪を思い出すし、叔父叔母の家に引き取られてからはあと何年で成人だとか、
あと何年で結婚して子どもが産めるとか、そんな私利私欲しかない最低な話ばかりだった。
だから、純粋に親以外から祝われたのは初めてだったのだ。
「おい！今日の主役が泣いたぞ！！」
「くくく国木田さん落ち着いてください！！きっと頭が腹痛なんですよ！！」
「敦君、頭が腹痛って色々可笑しいからね」
情けない、人前で泣くなんて。
それでも、慌てる国木田達を見て更に涙が溢れた。
今ここで、自分が息をしている理由が漸く判った気がした。
「あり、がとう」
いつものように仏頂面なんかではなく、年相応の少女のようにAは笑った。
仲間は驚いた顔をする。
それだけ、滅多にない光景だった。
「Aさん！そんなに喜んでいただけるなんてナオミ嬉しいですわ！
あともう一回笑ってもらっていいですか？写真撮りたいので」
「…嫌」
「今のはレアだったねぇ。アンタ笑うと可愛いんだから笑っときなよ」
その言葉にいつもの仏頂面に戻ると、「笑いな主役」と頬をつねられた。
「えー、ではでは気を取り直しまして、パーティを再開したいと思いまーす。
まずは乾杯の後、国木田君の一発芸で…」
「おい太宰！そんなプログラム知らんぞ！！」
「ちなみにマフィアからのプレゼントは明日一日Qとのお出掛けらしい。
…チッ、森さん、余計なことを」
ぎゃんぎゃん騒ぐ社員達に、クスリと笑いが溢れる。
温かい、もう寒くなんてない。
初めて、誕生日が嬉しいと思えた気がした。
「それでは、かんぱーい！！」
グラスが心地よい音を奏でた。
その後は無茶振りの国木田の一発芸や敦のモノマネが披露され、パーティは騒がしく進んでいった。
『あぁ、本当にここにいて良かった』
自分の生を呪うだけの日だった。
それがキラキラして見えるのは、きっと仲間のおかげだ。
「Aー、ケーキに蝋燭つけるから来なよ」
「その馬鹿みたいに大きいのケーキだったんですか」
やることが派手だなぁと思いつつ、Aは仲間のいる方に向かった。
ふと、誰かの聞こえるはずのない声がする。
「お誕生日、おめでとう」
Aとよく似た声は、パーティの騒ぎにかき消された。
誕生日、それはその人が生まれた、祝福される日。
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます！作品とても楽しみです！ (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん，ｍさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年10月28日 18時
