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よく考えて相手は選びましょう [市様リクエスト] ページ44

拐われた。
目が覚めた瞬間にAはそう判断した。
依頼主の家に入った瞬間、いきなり後ろから布のようなものを口に当てられてからの記憶が一切ない。
と云う事は、恐らく自分は拉致されたのだろうと確信する。






「目が覚めたか、探偵社」







「…アンタが犯人か、依頼人」







薄暗い倉庫のような部屋に入ってくる男。
依頼に来た時は穏やかな雰囲気であった依頼人は冷たくAを見下ろす。
それに負けないくらい強く男を下から睨め付ける。





「これから死ぬかもしれないというのに、随分生意気だな」







「生憎の所、しおらしく泣く性格でもないんでね」







はっ、と小莫迦にしたように笑えば男は苛立ったように舌打ちをした。
だが、探偵社の誰を誘拐してもこうなっただろう。
与謝野や鏡花辺りは反撃の危険すらある。








「それで?貴方の目的は」








「ヨコハマの目障りな組織に我々の力を見せつけること。
探偵社の一員を亡き者にすれば奴らも恐れ戦くだろう」








「…莫迦だ、アンタ。
その程度でヨコハマを手にしようなんてぶっ飛んでるよ」








仮に自分が死んだとして、その程度で探偵社が膝を折るとは思えない。
いや、殺されるつもりは全くないのだが。
それにそもそもヨコハマに存在する組織は探偵社だけなんかじゃなくて…







「…別の組織の奴にも手を出したのか」








「流石は探偵、見事な推理だ」








愉快そうに笑った男は「入れ」と扉の外に指示を出す。
すると、外に控えていたであろう部下が一人の女を連れて来た。
同じように縛られた女、いや少女はAの隣に放り投げられる。







「その女は捕らえるのに随分苦労した」








倒れた少女の顔を確認したAは本気で莫迦だと思ってしまった。
この男達は命が惜しくないのかと。








「そこで大人しく死の瞬間を待つのだな」









そう云い捨てた男は倉庫から出て行った。
足音が遠ざかっていくのを確認して、倒れた少女に声をかける。







「大丈夫?」








「は、い…」








長い黒髪が美しい少女はAの問いかけに途切れ途切れ答えた。
そして彼女もAの顔を確認して驚いたように目を見開く。







「貴女…探偵社の…」








「小泉A。貴女は黒蜥蜴の十人長でしょ」








同じく拐われたヨコハマのある組織の人物。
それは、ポートマフィアの黒蜥蜴、十人長の銀であった。

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もこすけ(プロフ) - 有栖さん» リクエスト承りました。嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2018年8月13日 6時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - リクエストです。薬か何かで小泉ちゃんが5歳くらいになって、武装探偵社で天然笑顔や、寂しがり屋を披露して太宰さんの事をお兄ちゃんって呼ぶって感じのお願いします!!!!!多めですみません!この作品めっさ好きです! (2018年8月12日 23時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ゼロレールさん» リクエスト承りました。わざわざコメントありがとうございます。感謝します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロレール(プロフ) - リクエストいいでしょうか?以前にやった幼い太宰さんの逆トリと同じで、幼い中也さんの逆トリお願いします。後、前回コメントができず、すみませんでした。リクエストは無理でしたらスルーでも構いません。よければ宜しくお願い致します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 3e587b9082 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 千晴さん» こちらこそありがとうございます。 (2018年8月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年7月22日 21時

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