＊ ページ35
「…本当に馬鹿だな」
自分でも驚くほど冷たい声が出た。
「今更貴方達の云うことを聞く？
権力と見栄の為だけに散々利用してきた貴方達の？
面白い冗談だね…おば様」
「A、貴女…」
「本当、笑える」
瞬間、パンッと乾いた音が響いた。
じわりと熱さに似た痛みが襲ってくる。
義母が躊躇いもなく頬を打ったのだ。
「育ててもらった恩を仇で返すつもり？」
「…馬鹿にするな」
今まで溜まっていた感情が噴き出す。
「育てた？保護者らしいこと何一つしなかったのに？
私が相談を頼んでも忙しい、甘えるなで突き返して放置。
学校で孤立して、他の親戚から何を云われても無視。
…貴方達は保護者なんかじゃない。
私を都合のいい道具にしていただけ」
「Aッ」
「おば様、私は人間なんだよ。
もう貴方達の知る小泉Aはいない。 …もう、帰って」
もしこの夫婦が嘘でも愛情を持ってくれていたら自分はあそこまで追い詰められなかっただろう。
この結果は全て彼女らの自業自得。
救う必要もない、ただの他人。
「私は私の意思で生きる…アンタ達なんて、知らない」
突きつけた三行半。
義父が憎々しげにAを睨み、歩み寄った。
そして、思い切り頬を殴る。
「お前が居なくなった日、長男夫婦の息子が消えた！
跡取り候補が消えた今がチャンスなんだ…。
お前の意思なんて関係ない！」
ヒステリックに叫び、興奮から震えて殴る義父。
あぁ、あの男…階段から突き落とした彼奴、消えたのか。
その時、義母が義父に「やめなさい、傷が残るわ」と止めに入った。
「…意思が固いのなら仕方ないわ」
殴られながらも平然とする義理の娘を見下ろし、義母は初めて笑った。
それはゾッとするほど冷たい。
彼女はおもむろに床に落ちている釘を拾うと、それを向ける。
「その気味の悪い目…片方無くなっても構わないわよね」
Aの紫の目が恐怖に揺れる。
そこまでやるか、この女は。
嫌だと抵抗するAを押さえつけ、左目に鋭い釘が眼球に近づけられた。
義母は思う、馬鹿な子どもだと。
だが、そううまくいくはずもない。
だって彼女には仲間がいるから。
「お邪魔しまーす！」
少年の掛け声と共に、倉庫部屋の扉が吹っ飛んだ。
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もこすけ(プロフ) - 有栖さん» リクエスト承りました。嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2018年8月13日 6時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - リクエストです。薬か何かで小泉ちゃんが5歳くらいになって、武装探偵社で天然笑顔や、寂しがり屋を披露して太宰さんの事をお兄ちゃんって呼ぶって感じのお願いします!!!!!多めですみません！この作品めっさ好きです！ (2018年8月12日 23時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ゼロレールさん» リクエスト承りました。わざわざコメントありがとうございます。感謝します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロレール(プロフ) - リクエストいいでしょうか？以前にやった幼い太宰さんの逆トリと同じで、幼い中也さんの逆トリお願いします。後、前回コメントができず、すみませんでした。リクエストは無理でしたらスルーでも構いません。よければ宜しくお願い致します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 3e587b9082 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 千晴さん» こちらこそありがとうございます。 (2018年8月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年7月22日 21時
