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続61話 ページ12

黄瀬は己を犠牲にして勝利に繋ごうとした。
だったら自分も、少しくらい無理をしよう。









「黄瀬君大丈夫!?アイシングもっとお願い!!」









「はい!涼太君、頑張って!!」









第3Qが終了し、休憩に入る。
激しく体力を消耗している黄瀬に橙山は付きっ切りでマッサージをする。









「……」









藍澤の指先がペンダントに触れた。
そして、第4Qがスタートした。
始まってすぐに黄瀬に渡るボール。








「あれは緑間さんの超長距離3P…!」









黄瀬がボールを構え、撃つ。
しかしボールは本来の放物線を描くことなく、
黄瀬の少し先で落下した。









「限界みたいですね」









「涼太君!!」









座り込む黄瀬。
選手交代のブザーが鳴る。
赤司に肩を貸してもらい、黄瀬が戻ってくる。









「涼太君!!」









橙山が駆け寄って黄瀬を支える。
藍澤も黄瀬を迎える準備をしようとした、
その時、何かを感じた。









「あとはまかせろ、涼太」









あぁ、彼も決意したんだ。
藍澤の予感は確信に変わった。









「赤司さん…」









藍澤は不安げな顔になっている自分の顔を叩き、
黄瀬のケアに向かった。
ベンチでは、息切れをしながら座り込んでいる黄瀬を橙山が必死にケアしていた。









「涼太君、大丈夫?」









タオルで汗を拭いてやりながら橙山は問いかける。
すると、黄瀬が何かを言った。
途切れ途切れだが、彼は言う。









「俺…ハァ…ちゃんとやれてた…っスか…?」








彼は橙山が自分を見ていたのか知りたいのだ。
そんなの決まってるだろう。
この子がずっと誰を見ていたのか。
藍澤はそう言いたいのを我慢して二人を見ていた。
橙山の細く、白い手が黄瀬の頬を撫でた。









「やれてたよ。すっごくかっこよかった。

涼太君、キラキラ輝いてて素敵だったよ」









「…!!」









「私のナンバーワンは涼太君だよ。

お疲れ様、頑張ったね」









橙山は優しく笑った。
すると黄瀬の目から大粒の涙が溢れ出した。









「わわっ!なんで泣くの!!」









「ごめ、なんか嬉しくて…」








いつもならここで殴るところだった。
でも、今はなんでかそんな気になれなかった。
まるで運命の恋人のような二人をそのままに、
藍澤は試合に視線をうつした。
妹の優しい笑顔を向けられる黄瀬に少しの妬みを感じながら。

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もこすけ(プロフ) - ミオさん» コメントありがとうございます。ひっそりと書いていました。嬉しいお言葉をありがとうございます。これからも頑張ります。 (2020年5月11日 19時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 黒バスも書かれていたんですね……とても面白かったです。どの作品もしっかり考えて作られていて、すごいと思います。これからも頑張ってください! (2020年5月7日 19時) (レス) id: 244e2b34cf (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 今井 明希さん» 読んでくださりありがとうございます。少しずつ頑張らせていただきます。応援、ありがとうございました。 (2020年5月1日 12時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 昨日と今日でいっき読みしちゃいました、、、続編おめでとうございます!続き頑張ってください!待ってます!! (2020年4月30日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ややるるさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2018年7月7日 0時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2017年3月9日 16時

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