八話 ［虎探しの探偵］ ページ10
異能力？
武装探偵社？
駄目だ、理解が追いつかない。
「ゴメンナサイワタシカエリマス」
「え！？Aちゃん！？」
ちょっと面倒な人達だとは思ったが、まさかここまでとは。
これ以上関わるのは最善策とは言えない。
「おや？帰るのかい？」
「えぇ、ちょっと予定を思い出しまして」
文豪の名前は偶然にしても、異能力？
残念なことにAは超能力や魔法の類は一切信じない。
椅子から立ち上がって帰ろうとする。
が、腕を掴まれる。
「まあ待ちたまえ。君にはまだ恩返しをしていない」
「いえ、結構です。犬を助けたようなものなんで」
「結構云うね君」
「知ってます」
「まあまあ、面白い話があるから聞いてごらんよ」
いや、明らかにやばい話だろう。
異能力だとか探偵だとかでもうお腹いっぱいだ。
「今日私達はある仕事をしに来ているのだよ」
「仕事…？」
疑いの眼差しを向けるAに太宰は端正な顔でニッコリ笑う。
「虎探しさ」
更にAの目が疑い深くなった気がした。
綺麗な顔だがなかなか目つきは鋭いらしい。
「近頃街を荒らしている『人食い虎』だよ。
倉庫を荒らしたり畑の作物を食ったり好き放題さ」
「…」
明らかに疑っている。
それもそのはず、いきなり虎を探してるなんて言われたら誰でもそうなるだろう。
「最近この近くで目撃されたらしいのだけど…何か知らない？」
「敦、私は帰る。これ以上話を聞く必要はない」
しばらくしても敦の返答はなかった。
不思議に思い、彼の方を向く。
ガタッ
彼はナニカに怯えるように椅子から転げ落ちていた。
「ぼ、ぼぼ僕はこれで失礼します」
「置いていかないで。この人嫌」
「待て」
逃げようとする敦を国木田が掴み上げる。
敦は切羽詰まったように叫ぶ。
「む、無理だ！奴、奴に人が敵うわけない！」
「貴様、『人食い虎』を知っているのか？」
「あいつは僕を狙っている！殺されかけたんだ！
この辺に出たんなら早く逃げないと…」
国木田が手を離す。
瞬間、彼の周りの空気が変わるのが分かった。
「あの人…武術の心得がある」
「おや、よく判ったね」
敦の右手をつかみ、足をはらう。
そして手を押さえたまま床に叩きつけた。
その見事な技はまるで、あの人のようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
太宰の包帯希望者 - シリアスううううう！めっちゃ好みです！更新頑張ってください (2月5日 22時) (
レス) @page21 id: efd9a7d1a1 (このIDを非表示/違反報告)
条野さんの鈴飾り食べたい - ネタが思いつかないので申し訳ないのですがこちらの『この世界で生きるのは不可能という結論が出ました』の小泉ちゃんとコラボさせて貰っても宜しいでしょうか？誠に勝手で申し訳ございません｡ (2022年12月17日 11時) (レス) id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 碧さん» ご指摘ありがとうございます。実はあえて意味がおかしい英語にしています。その話自体がギャグのような内容なので、正しい英文より、日本語に直すと面白い英文の方が良いかと思い、あえて間違った内容にしております。 (2021年12月14日 7時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - 二十三話太宰の中のドラムになってませんか？ (2021年12月12日 18時) (レス) @page25 id: 6588339009 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ルチアーノさん» ご指摘ありがとうございます。直しておきます。 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年3月11日 14時
