検索窓
今日:1 hit、昨日:162 hit、合計:2,820,067 hit

二十話 [パニックパニックパニック] ページ22

絶叫したAはまず太宰の腹に一発拳を打ち込んだ。
躊躇いなど無く、ほぼ無意識のうちの攻撃である。
勢いのついた拳が柔らかな腹にめり込む。
眠っている無防備な腹に拳を叩き込まれた太宰は形容しがたい呻き声をあげた。



「うぇぐぁっ!!」



殴るとすぐに布団から飛び出る。
畳を転がるようにして距離を取った。



「え…あ、なんで私…この人の隣で寝て…」



心臓が通常の倍速く動く。
状況が飲み込めない。



「痛い…目覚めにこれは…痛い…」



腹を押さえたまま、彼は呻く。
どうやらあの一撃で目が覚めたようだ。



「肋いったかなぁ…久しぶりにこんな痛いよ…」



未だ状況が把握できず、Aは頭にハテナを浮かべ、口をパクパクと開け閉めする。



「うぅ…おはようAちゃん」



「お、おはようございます…?」



聞きたいことがありすぎて口から出てこなかった。
代わりに出てきたのは朝の挨拶のみ。
すると腹を押さえて蹲っていた太宰がやっと回復した。



「ふぅ…やっと治った。あの勢いで首狙われたら死んでいたねぇ」



それはそれで死ねていいかと言う太宰。
まだ頭が回らなく呆然としていると、
太宰があ、と何かに気づいたように声をあげた。



「Aちゃん、あんまり足あげない方がいいよ」



「はい…?」



「見えちゃうから」



何が、と聞く前に太宰はAの服を指差した。
不思議に思い、自分の体に視線を落とし、再び硬直した。



「ひっ…」



咄嗟にシャツで足を隠した。
自分の着ていたものはあの真っ黒の制服ではなかった。
大きめのワイシャツを着ていた。
ワイシャツはAが着るにはかなり大きく、
袖はかなり丈があまり、裾は彼女の白い太ももを隠すほどだった。
つまりどういうことかというと、



「ごめんね、探したんだけど丁度いいズボンが無くてね」



下は下着を残して何も着ていなかった。
ワイシャツがスカート代わりになっているのだった。



「だからあんまり足をあげると見えちゃうよ」



瞬間、うら若き少女の絶叫が響いた。
本日二度目の絶叫であった。

二十一話 [お着替え騒動勃発]→←十九話 [夢と現実と絶叫]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1186 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2602人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

太宰の包帯希望者 - シリアスううううう!めっちゃ好みです!更新頑張ってください (2月5日 22時) (レス) @page21 id: efd9a7d1a1 (このIDを非表示/違反報告)
条野さんの鈴飾り食べたい - ネタが思いつかないので申し訳ないのですがこちらの『この世界で生きるのは不可能という結論が出ました』の小泉ちゃんとコラボさせて貰っても宜しいでしょうか?誠に勝手で申し訳ございません。 (2022年12月17日 11時) (レス) id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 碧さん» ご指摘ありがとうございます。実はあえて意味がおかしい英語にしています。その話自体がギャグのような内容なので、正しい英文より、日本語に直すと面白い英文の方が良いかと思い、あえて間違った内容にしております。 (2021年12月14日 7時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 二十三話太宰の中のドラムになってませんか? (2021年12月12日 18時) (レス) @page25 id: 6588339009 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ルチアーノさん» ご指摘ありがとうございます。直しておきます。 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2018年3月11日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。