十六話 ［これが先触れ］ ページ18
抱き寄せられたまま、虎が敦に戻る光景を見守る。
人に戻った敦は意識がないのかフラリと倒れそうになる。
それを太宰が空いている手で受け止めた、が。
「男と抱き合う趣味はない」
「あ、敦ッ…」
敦の体は地面に落ちた。
なんてことを、というか、
「いつまで触ってるつもりですか」
他人に触れられるのは嫌いだ。
自分の領域に土足で踏み込まれるようで。
目の前の彼は"彼奴ら"とは違うと判っているのに。
「君を助けたのは私だよ？」
「虎に触れば最初から解決したのに私で遊んでたのは誰ですか」
「だって君が面白いんだもの」
「…この人、苦手だ」
手を退けて太宰の体から脱出する。
とりあえずありがとうとだけ言っておく。
本心からではない。建前だ。
「おい太宰！」
「ああ遅かったね。虎は捕まえたよ」
扉から人が入ってくる。
長めの髪にメガネ。どこかキツイこの声は。
『国木田独歩…』
国木田は駆け寄ると倒れる敦に気づいた。
どうやら茶屋で太宰が国木田に渡した紙には虎探しの内容がかかれていたらしい。
「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ」
月明かりの下、複数の影が現れる。
探偵のような格好をした青年と、
蝶の髪飾りをつけた年若く美しい女性、
オーバーオールを着た純朴そうな少年。
「なンだ。怪我人はなしかい？つまんないねェ」
与謝野晶子ー異能力『君死給勿』
「はっはっは、中々できるようになったじゃないか太宰。
まあ僕には及ばないけどね！」
江戸川乱歩ー異能力『超推理』
「でもそのヒトどうするんです？自覚はなかったわけでしょ？」
宮沢賢治ー異能力『雨ニモマケズ』
「どうする太宰？一応区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩ー異能力『独歩吟客』
「うふふ、実はもう決めてある。うちの社員にする」
太宰治ー異能力『人間失格』
「はああぁ！？」
ーこれが事の始まりー
ー怪奇ひしめくこの街の変人揃いの探偵社ー
ーこれより始まる怪奇譚ー
ーこれが先触れ前兆しー
「…」
中島敦ー異能力『月下獣』
「なにがなんだか判らなくなってきた…」
小泉Aー異能力所有不明
「はぁ…」
少女の物語も動き出そうとしていた。
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太宰の包帯希望者 - シリアスううううう！めっちゃ好みです！更新頑張ってください (2月5日 22時) (
レス) @page21 id: efd9a7d1a1 (このIDを非表示/違反報告)
条野さんの鈴飾り食べたい - ネタが思いつかないので申し訳ないのですがこちらの『この世界で生きるのは不可能という結論が出ました』の小泉ちゃんとコラボさせて貰っても宜しいでしょうか？誠に勝手で申し訳ございません｡ (2022年12月17日 11時) (レス) id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 碧さん» ご指摘ありがとうございます。実はあえて意味がおかしい英語にしています。その話自体がギャグのような内容なので、正しい英文より、日本語に直すと面白い英文の方が良いかと思い、あえて間違った内容にしております。 (2021年12月14日 7時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - 二十三話太宰の中のドラムになってませんか？ (2021年12月12日 18時) (レス) @page25 id: 6588339009 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ルチアーノさん» ご指摘ありがとうございます。直しておきます。 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年3月11日 14時
