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二百五話 [援軍の登場] ページ5

中から出てきた人物は豪快に笑いながら地上に現れる。



『相変わらず肩凝りに効くな、この船は!』



髭を生やし、頬に獣に引っ掻かれたような傷がある、中年の男性だった。
軍服のような服を着てるが警察なのか。
そう考えた瞬間、彼女は寒気の正体に気づいた。



「なんであの速度で着弾して無傷なんだ…」



あれほどの速度で落ちれば間違いなく即死する。
なのに、傷一つ無く豪快に笑っている。
事実、それに気づいた警察達は男に警戒し銃を向け、そのうちの一人が銃の引き金に指をかけた。



『待ちなさい』



「ッ!」



聞き覚えのある声と同時に銃が発射される音が聞こえた。
イヤホンを耳に押し当てるAの手が僅かに震える。



『隊長、また降下地点の補正を怠りましたね?』



閉じられた目に優しげな声。
先ほどの男と同じ軍服を着た若い男。
見間違えるはずもない、あの姿。



『条野!お前が先に来ていたか!』



『何度云えば判るのです』



彼の手から、銃弾が落ちる。
撃たれたはずの銃弾は彼の手の中で止められていたのだ。



『現場部隊の心拍を無駄に上げないで頂きたい。後ろから撃ちますよ?』



太宰を逮捕した、《猟犬》と呼ばれていた男だった。
途端に背に冷たいものを感じた。



『全員銃を下ろせ!その御方は援軍!』



Aの頬に汗が伝う、この状況で援軍なんて。



『それも軍警最強の特殊部隊《猟犬》だ!』



特殊部隊、猟犬。聞きなれない単語だ。
すると、隊長と呼ばれた男が残りも来たか、と上空を見上げる。
同時に、二つの弾道体が落ちて来て、一つの扉がガタガタと揺れた。
しかししばらくすると止み、内側からそれが切り裂かれた。



『…開いた』



中から、刀を構えた人物が現れる。
黒い髪に長い睫毛、左の目の下に刺青のようなものが入った若い男。
あの固い弾道体を刀で斬ったのだ。



『いや開いたじゃないですよ鐵腸さん。
貴方達のは外から開ける形式の《鞘》ですからね』



『我が道阻む障害は….何であろうと斬り捨てる』



『ああ成程死ねばいいのに』



そう云った盲目の男が一瞬、こちらを向いた気がした。
思わず画面から後ずさる。



「気づかれた…?」



そんなはずない、だが心臓の音が煩く鳴る。
胸を押さえて映像を見つめていると、耳に可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。



『おい!開かぬぞ!』

二百六話 [猟犬部隊]→←二百四話 [恐怖と新たな刺客]



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riia - こんなに長いお話は初めてみるので尊敬します!他の夢小説よりちゃんとしていてすごく面白いです!神作だと思います!大好きです!登場人物の性格もちゃんと掴めていて見ていて楽しいです!ほんとに文ストの中に居そうで違和感がありません!設定とか凄いと思います!! (2022年8月5日 16時) (レス) @page24 id: 9d716aa4c8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - †三毛猫†さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。泣いていただけたようで、書いているこちらとしてはとてもありがたい事です。とても嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年5月19日 12時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
†三毛猫†(プロフ) - 毎回、夢主ちゃんの過去のお話しで泣いてしまいます。こんなに感動できる物語がかける作者さんを尊敬してます (2019年5月18日 19時) (レス) id: a139b9767e (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - さくらかつきのようになりたい←さん» コメントありがとうございます。そんなに喜んでいただけるとこちらとしても書いていてよかったと思います。近々、第7章を出しますのでよろしければ読んでください。皆様の応援、大変嬉しいです。今後とも、この作品をよろしくお願いします。 (2019年5月18日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
さくらかつきのようになりたい← - BEASTも楽しみにしてます!小泉ちゃんがどう活躍(?)するのか…アッダメだ私の脳じゃ思い付かない…!!(←)コホン…体調にも気を付けて、作者さんのペースで更新して下さい!(← 何か上からで済みません…!!)我々読者は何時までも待ち続けております!!長文失礼しました! (2019年5月17日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年6月9日 19時

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