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二百二十七話 [うきうきお悩み相談会] ページ29

欧州の異能刑務所『ムルソー』にて、平坦な声が響く。



「うきうきお悩み相談か〜〜い」



ドストエフスキーの突然の行動に太宰は表現し難い顔をする。



「という訳でやって参りました第一回うきうきお悩み相談会。
司会はぼく、ドストエフスキーが」



「はい待ち給え一旦待ち給え」



太宰のストップにドストエフスキーは無表情で首を傾げた。



「何です?」



「何が?」



「何って何が?」



沈黙。
そして太宰はあぁと気づく。



「相談ね、慥かにこんな機会でもないと無理か」



「素早いご理解感謝します」



どちらも持ち前の化け物的頭脳のおかげで相手の思考が読める。
相談は相手が同等でないと出来ない。
つまり、この機会に互いの悩みをぶつけ合おうというのだ。
能天気にも太宰は先に君から、と相談内容を受け付ける。



「ぼくの部下は指示待ちばかりで自主性に欠けます。
どうすれば自ら動く優秀な部下になるでしょう」



太宰は一瞬考える。



「毎日何もせずぐうたら怠けていればこのままでは拙いと思った部下が勝手に努力しだすでしょう」



「なるほどぉ〜」



抑揚のない声で魔人は納得する。



「次は私。職場の後輩を口説いても進展する気配がありません。どうすればいいでしょう」



真剣そのものの太宰の顔。
職場の後輩、その一言で魔人は相手が誰なのかを理解した。
そして、



「職を失わせ、仲間を騙して信頼を無くせば向こうから貴方に縋り付くでしょう」



「なるほどぉ〜」



もし彼女がここに居たら『莫迦じゃないの』と切り捨てていただろう。
だがストッパーがいないここではただただ狂気的な会話が流れるだけ。



「では次は同時に質問しましょう」



「善いとも」



「貴方の」



「君の」



「外部との連絡方法が知りたい」



二人の声が重なる。
考えていることはどこまでも同じだった。



「相手より先に連絡手段を見破れば外の仲間を呼んでその連絡手段を絶てる。つまり勝利だ」



勝利への一手。
それを先に手に入れるのはどちらか。



「ぼくの連絡方法を見破れませんよ」



「見破るさ。その為に来た」



お互い、読めない笑みを浮かべる。
すると、魔人の唇が不敵に歪んだ。



「もう一つ質問を。
…貴方は『彼女』の力が本当に"あれだけ"だと思っていますか?」

二百二十八話 [真実の力は]→←二百二十六話 [君も罪の子、我も罪の子]



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riia - こんなに長いお話は初めてみるので尊敬します!他の夢小説よりちゃんとしていてすごく面白いです!神作だと思います!大好きです!登場人物の性格もちゃんと掴めていて見ていて楽しいです!ほんとに文ストの中に居そうで違和感がありません!設定とか凄いと思います!! (2022年8月5日 16時) (レス) @page24 id: 9d716aa4c8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - †三毛猫†さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。泣いていただけたようで、書いているこちらとしてはとてもありがたい事です。とても嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年5月19日 12時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
†三毛猫†(プロフ) - 毎回、夢主ちゃんの過去のお話しで泣いてしまいます。こんなに感動できる物語がかける作者さんを尊敬してます (2019年5月18日 19時) (レス) id: a139b9767e (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - さくらかつきのようになりたい←さん» コメントありがとうございます。そんなに喜んでいただけるとこちらとしても書いていてよかったと思います。近々、第7章を出しますのでよろしければ読んでください。皆様の応援、大変嬉しいです。今後とも、この作品をよろしくお願いします。 (2019年5月18日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
さくらかつきのようになりたい← - BEASTも楽しみにしてます!小泉ちゃんがどう活躍(?)するのか…アッダメだ私の脳じゃ思い付かない…!!(←)コホン…体調にも気を付けて、作者さんのペースで更新して下さい!(← 何か上からで済みません…!!)我々読者は何時までも待ち続けております!!長文失礼しました! (2019年5月17日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年6月9日 19時

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