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二百十四話 [取引の内容は] ページ14

取引、口にすれば簡単だがその重みは軽いものでは決してない。
取引は取引でもこれは胸を張って出来る行為ではないのだから。



『取引、なぁ。手前もそういう考えか』



「どういう、ことですか」



自分も、ということは先に誰かが取引をマフィアとしたということになる。
一体誰が?



『探偵社の社長が首領と取引したんだよ。
部下の救助に向かうっていう内容でな』



「…そう、ですか」



予想はしていた。
あの福沢がなにも手を打たないとは考えられない。
誰かに協力を仰ぐ、その程度は自分でもなんとなく判っていた。
いや、そうであってくれと願っていた。



「…対価はなんですか」



対価なき取引などあり得ない。
汗が滲む手でイヤホンを押さえる。



『対価は探偵社員一名のマフィア移籍だ』



「ッ!」



その言葉に心臓が冷えていくのを感じた。
覚悟はしていた。
マフィア相手に取引をするのがどういう事か。



ー社長も、覚悟を決めて取引したんだー



例え対価が大きくても現状をどうにかしなくてはならないのだ。



『それで?手前はなんの取引がしてぇんだよ』



「…先刻、私は互いに貸し借りがあると云いましたね」



『あぁ、手前も俺も互いにある』



「それを条件に取引をしてください」



これは賭けだった。
今までの貸しや借り。
路地で彼を助けた事、Qの捜索を手助けした事。
最近ではポオの異能で本に閉じ込められた中也をマフィアからの依頼で助けた事。
組織としての貸し借りも存在しているのだ。



ーでも、それで彼が取引に乗るかは別ー



引いてはいけない。
ここで引けば取引は為されない。



「これは…探偵社員である私からの依頼です。
中也さん、いえ…ポートマフィア幹部の中原中也への依頼」



自分達は互いに線を引いていた。
探偵社とマフィア。
知り合いだったとしても組織を裏切らない。
だから、線を引いて踏み込まないようにしていた。
まさかそれを自分が踏み越えるとは思いもしなかったが。



『…内容は』



戻れない、もう引けないんだ。
ゴクリと唾を飲み、その言葉を口にする。



「_________」



『!』



中也が息を飲んだのが判った。
でも、これしかないんだ。
自分ができること、最適解は。



ー例えそれが許されない行為でもー



やるしかないのだと、もう決めた。

二百十五話 [駆け引きの二人]→←二百十三話 [貸し借りというもの]



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riia - こんなに長いお話は初めてみるので尊敬します!他の夢小説よりちゃんとしていてすごく面白いです!神作だと思います!大好きです!登場人物の性格もちゃんと掴めていて見ていて楽しいです!ほんとに文ストの中に居そうで違和感がありません!設定とか凄いと思います!! (2022年8月5日 16時) (レス) @page24 id: 9d716aa4c8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - †三毛猫†さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。泣いていただけたようで、書いているこちらとしてはとてもありがたい事です。とても嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年5月19日 12時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
†三毛猫†(プロフ) - 毎回、夢主ちゃんの過去のお話しで泣いてしまいます。こんなに感動できる物語がかける作者さんを尊敬してます (2019年5月18日 19時) (レス) id: a139b9767e (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - さくらかつきのようになりたい←さん» コメントありがとうございます。そんなに喜んでいただけるとこちらとしても書いていてよかったと思います。近々、第7章を出しますのでよろしければ読んでください。皆様の応援、大変嬉しいです。今後とも、この作品をよろしくお願いします。 (2019年5月18日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
さくらかつきのようになりたい← - BEASTも楽しみにしてます!小泉ちゃんがどう活躍(?)するのか…アッダメだ私の脳じゃ思い付かない…!!(←)コホン…体調にも気を付けて、作者さんのペースで更新して下さい!(← 何か上からで済みません…!!)我々読者は何時までも待ち続けております!!長文失礼しました! (2019年5月17日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年6月9日 19時

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