白の旋律【Rui.Hanazawa】

４ ページ4

類に電話をかけると５コール目でやっと出た。


類『…総二郎？どしたの』

総｢類お前、寝てたろ｣

類『寝てたよ』


寝ぼけた声に少し緊張が和らぐ。


総｢Aの、事なんだけど｣

類『…Aの？』


訝しげに問い返される。
当然だよな。俺の前でAの話は禁句だったし。


総｢死んでないんだよ｣

類『え？』

総｢あいつ…生きてるんだよ。頑張って病気直したんだよ｣


きっとAは辛かっただろう。
あんなに小さかったのに、重い病気にかかって。
それなのに負けなかった。


類『総二郎、今日4月1日じゃないけど』

総｢これがエイプリルフールの冗談に聞こえるか？｣

類『全然』

総｢信じらんないのは俺も同じだけど…さっき英徳からAの入学許可がおりたんだよ｣

類『え…』

総｢書類も届いたし…まじっぽいんだわ、これが｣


息を呑む音が聞こえた。



総｢明日…家に来る。司とあきら、誘って来いよ｣

類『…オーケー、伝えとく』


切り際の類の声も、何となく嬉しそうだった。


そういや、内向的だった類を変えたのは静やAだったな。静に色んなとこ連れ出されて、Aに懐かれて。




八年ぶりか…

どんな顔して会えばいい？


何て言葉をかければいい？

５→←３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す