雛鳥の足跡…35こ ページ36
大きな傾きに耐えきれず、宙を浮き船の外へと投げ出された数名のクルーの姿をAの視界が捉え、ヒッと喉が引き攣る。
クソっという声とともに大きな手で視界を覆われた。
Aの、心の片隅で大事な者となりつつある彼等。
荒れ狂う海に飲み込まれようとする彼等の姿を見せまいと、視界を塞いでくれた彼の、大事な家族。
また、守る事ができないというの…？
嫌だ、そんなのダメだとグッと拳を握りしめる。
｢っお願い！私の声に応えてっ、彼等を助けてぇ！！｣
Aの叫びを合図に、水柱と突風が海面下から突き上げ、投げ出されたクルーたちは甲板へと戻ってくることができた。
ガタガタと恐怖に震える身体を、マルコがグッと力強く抱きしめてくれる。
｢すまねぇ、ありがとうよい｣
そう耳元で囁かれ塞がれていた視界が晴れると、Aの目に飛び込んできたのは投げ出されたクルーたちの無事な姿。
よかった…と、自身の身を抱き込んでくれているマルコの腕をギュッと握った。
この世界にも妖精がいてくれて、見えるようになってて本当によかったとAは思う。
だが残り少ない氣力は、先ほどの妖精が使った力で大幅に削られてしまった。
目がチカチカして視界がぼやけるが、まだ駄目だと、この船を守らなきゃとグッと掌に爪を立てて意識をなんとか保つ。
マルコが時折ふらつくAを訝しんで見下ろせば、グッと握られた拳に血が滲んでいるのが見て取れた。
｢お前…｣
血の滲む手を取って拳を開いてやり、その手にするりと掌を重ね合わせ、そっと自身の指とAの指を絡ませた。
｢爪を立てるなら、この手にしておけ｣
そう言えばこちらを振り向いて困惑の表情を浮かべるAに、辛いだろうがもう少し頑張ってくれと言うと、力強く頷いた。
意識が飛びそうになり駄目だと頭を振って絡んだ手指をギュッと握れば、その手を強く握り返される感覚に呼び起こされ意識を保つ。
温かな温度に、この手があれば大丈夫だと安堵する。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
