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雛鳥の足跡…33こ ページ34

「お願い、どうか私に力を貸してっ!」

両手を空に伸ばしてそう言い放てば、わらわらと妖精たちが集まってきてくれた。
被害が最小限に収まる道を教えて欲しいと願えば、頷いて四方八方へと散らばっていき、Aは電伝虫に手を伸ばす。

「まず、面舵45度でお願いします!」

そう言えば指示通りに曲がり船は進む。
轟々と耳元で唸る風がうるさい。

「次、取り舵20度!」

妖精が教えてくれるままにAは指示を出す。
船に当たる突風や高波の飛沫を、妖精たちが力でなるだけ相殺してくれるが、だかその度にAの氣力がそれに引っ張られてしまう。
どうにか耐えないとと、グッと唇を噛み締める。

しばらくすれば雷が轟き、大粒の雨が降りしきる大嵐となる。
ビチビチと顔に張り付いてくる滴。
拭っても拭ってもキリがなく、悪態をついてしまいそうだ。

ふと突然バサリと何かに身体を覆われる。
雨を凌ぐ、マントのようだ。

「今更だがねぃ」

そう言ってそれを掛けてくれたのはマルコだった。
フードを被せて貰えば、幾分か顔に張り付いてくる滴がマシになる。

「っ前方大波が来ます!振り落とされないよう掴まって!!」

迫り来る波にクルー達から悲鳴が上がった。
その波に乗りあげれば、船体がぐわりと縦に持ち上がり、身体が浮遊する。
グッとブリッジの欄干を掴むが、Aの軽い身体は浮き手が離れヒッと小さく悲鳴を上げてしまった。
振り落とされてしまうと思ったが、逞しい腕がAの両側から伸びてきて欄干を掴む。
その逞しい腕と、背に触れる大きな胸に挟まれAの身体はギュッときつく固定された。

「大丈夫だ。しっかり支えててやるよい」
「っありがとうございます!」

幾数も走る稲妻に恐怖を感じていれば、片方の腕が身体に巻き付き、腕をさすってくれる。
見上げて目が合えば笑ってくれ、その温かさとその存在に心の平穏を保てそうだと思う。

「面舵15度!」

そのお陰でしっかりと妖精の声に耳を傾けられる。
耳元で囁く妖精の情報によしと胸を撫で下ろす。

「マルコさん、もう少しで一度サイクロンを抜けれます!」

一度という言葉に首を傾げたが、わかったと頷く。
次第に雨と風も弱まり、ぶわっと青空が覗く凪いだ場所へと船は出ることが出来た。
緊張が走っていた船内は、どっと皆力が抜けへたりこんだ。

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設定タグ:ONEPIECE , 白ひげ海賊団 , マルコ   
作品ジャンル:アニメ
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです!! (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな?って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます!このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です!続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もふもふ子 | 作成日時:2022年9月17日 4時

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