雛鳥の足跡…28こ ページ29
翌朝Aの部屋へ訪れれば、部屋はもぬけの殻で焦った。
また食堂かと安易に考え覗けどおらず、クルー達にも探すよう指示をする。
見付けましたとそちらについて行けば、そこは武器庫。
こっちですと開いた扉を覗けば、床に散らばったいくつもの武器とともに、Aが倒れている。
その顔はいつくも涙の流れた跡があった。
片手で顔を覆って、マルコはハァ…とため息をついた。
夜中に、そんな日が何日か続く。
部屋を抜け出す気配を感じてあとを追い掛け、しばらく好きにさせたあと部屋へと連れ戻す。
武器を手に持つAは、いつも泣き何かを叫んでいる。
うるさいと、大丈夫だと、ちゃんと出来ると、今度は必ず守るんだと。
誰かに何かを言われ否定するように。
一週間も経てば憔悴しきって見ていられなくなり、今日は部屋を抜け出したAを捕え、自分の部屋へと連れ込んだ。
嫌だ嫌だと暴れるAをベッドへと縫いつけ、上から鋭い視線で睨みつければ、瞳は恐怖に染まり涙が滲む。
ハァと溜息をつきAを抱き込んで反転すれば、マルコの胸の上でごめんなさいと縋り付き泣き、そっと頭を撫でてやった。
｢いつも何にそんなに泣き叫んでるんだよい｣
｢…耳元で囁かれるんです｣
落ち着いた頃に問いかければ、そう返ってくる。
お前に武器を持つ資格は無いと、守れないくせにと、何が出来るんだと、どうせ助ける事なんて出来ないのだと。
あんな事が起きてからまだ日が浅いというのに、一人穏やかに楽しく過ごしてしまっている。
きっと、皆が怒って自分を憎んでいるのだとAは言う。
｢前にも言ったが、お前の愛した者たちは、そんなことを言う奴らなのか？｣
｢っちがう…違いますっ｣
｢じゃあその囁きは、お前の弱い部分が囁きかけてるんだろうな｣
ここで生きていくと決めたけど、きっと心の何処かでは決めきれていない。
皆を差し置いて自分だけと。
その弱さがある限り、ずっと囁きかけられるだろう。
｢分からない…。私はちゃんと、決めたもの。他に、どうすればいいというの…？｣
｢それは、この船で過ごして見つけていけばいいよい｣
この船の温かさが怖いと、自分が駄目になりそうだとAは泣く。
その背をとんとん叩きあやせば、憔悴した身体はすぐに眠りについた。
心揺れ動いてるときに彼女は丁寧な敬語の喋りが解ける。
悲痛な声であるというのに、マルコはなんだかそれが嬉しいと思う。
Aの重みはそのままに、マルコも眠りについた…。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
