雛鳥の足跡…13こ ページ14
お昼過ぎに、ちょっと来いよいと行ってマルコが現れた。
連れてこられた先はずらりと扉が並ぶうちの一つの扉の前。
お前が歩けるようになったら使う部屋なと言われ、びっくりする。
角部屋で、周りは隊長格が集まり、隣はマルコだと言った。
そんな大層なところに異端の自分がなんてと慌てたが、親父の大事な客人だからと丸め込まれた。
マルコが扉を開けば、一番に目に飛び込んできたのは…
｢私の、騎士服…｣
この世界へと飛ばされた時に着ていたもの。
白地に、赤い糸や赤の飾りで装飾された騎士服。
それは血だらけでボロボロであったというのに、綺麗に洗われ、切り裂かれていた部分は、縫製されていた。
ベッドへと降ろしてもらい、窓際に綺麗に掛けられていたそれを、手渡された。
ナースたちが一生懸命直していたと、教えてくれる。
自分の世界へともう戻ることが出来ないのなら、それはその世界で過ごしてきたという大事なものの一つだろうと、マルコは言った。
ポロポロと涙が零れてくる。
本当にこの船の人達は優しい。海賊らしくないな、なんて思う。
騎士服を抱き締め、ありがとうございますと呟けば、それはナースたちに言えよいと頭を撫でられAは何度も頷いた。
｢マルコさん、昨日はすみませんでした。話を聞いて頂いたのに、泣いて、喚いて、やり場のない気持ちをぶつけてしまって…｣
｢かまわねぇよい｣
生きていく覚悟は出来たかいと聞けば、Aは半々だと答える。
やはりまだ現実を受け入れることが出来なくて、夢なんじゃないかとさえ思ってしまう。
でも、この船の人たちが優しすぎて、自分の世界で起こったことが霞んでくると。
｢目の前で愛した人達が殺されたんだ、受け入れることが出来ないなんて当たり前だろうよい。忘れることなんて、出来やしねェだろ｣
忘れる必要なんてねェし、忘れてしまえばそれはそれで薄情者だ。
生かしてもらった気持ちを受け取って、いつか笑って過ごせればいいんだとマルコは頭を撫でてくれる。
この人に頭を撫でてもらうのは、とても落ち着くなと、心が凪ぐなとAは思った。
｢ちゃんと笑って過ごせる日が来るでしょうか…｣
｢おれ達はお前にそうなれるよう優しくしてやれるが、そう出来るかはお前次第だな｣
そう、マルコに言われた。
｢私、こんなに良くして下さる人たちの為にも、前を向きたいです…｣
そうかと笑ってまた頭を撫でられ、親父にも言ってやれ、心配してたぞと聞き、はいとAは頷いた。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
