異能力：《カゲロウデイズ》【文スト】【(微量の)カゲプロ】

31.《逶ｮ繧貞粋繧上○繧》 ページ40

NO SIDE.


太宰「……ぇ？」


太宰の頭の中で、パズルのピースがカチリとはまる。

焼き付いた記憶が、脳裏に流れた。





──────









──織田作の遺言を聞く私。

──目はこぼれんばかりに見開かれる。

──冷たくなっていく体温を感じる。


────と、その時。私の後ろから影がさした。


──勢いよく振り向くも、そこにいたのはマントを羽織った背のあまり高くない人物。

──顔は影とマントに隠されているため見えないが、かなり体つきは華奢に思えた。

──そう、まるでどこにでもいる女の子のように。


《逶ｮ繧貞粋繧上○繧》


──あまりに小さな声だったから、ゴニョゴニョとしか聞こえなかったがその瞬間私の体は固まった。

──“赤い目”と目が合ったまま。



──固まった脳と体がとけたとき、織田作と影はいなくなっていた。

──そして、影のことは




──すっかり忘れていた。





太宰は、わずか１秒の間にこれ(記憶)を思い出していた。


太宰「(……なぜあれを忘れていたのかは分からないけれど、もしあの赤い目を持つ影がAちゃんなら───)」







織田作は、


生きているかもしれない。








─────


太宰が記憶を呼び起こしている間、話は次の能力へと進んでいた。


『はぁーい、次は《冴える》ね！！《冴える》は《合体せる》と合わせて話したいんだけど〜…今から話すことこそが、全部の質問の答え！！一言一句聞き漏らさずに聞いてよね！！！』

敦「元気だね……」


強調しようと躍起になりすぎて、おかしなテンションで喋り続けるA。

そんなAに敦は苦笑いをした。


『《冴える》はね、自我があるんだよ。前から僕が偶に『“僕”に聞いたら〜…』とか言ってたでしょ？皆はもうツッコむの疲れたんだか知らんが聞いてこないけど、いわゆるその“僕”の正体は、《冴える》ってわけ！！』

谷崎「え…？でもその“君”が《冴える》なら、“僕”とかまだるッこしい言い方しないで“冴える”とか言えば良かっッたンじゃ……？」


谷崎の疑問はもっともだった。

なぜAは《冴える》をもう一人の僕、“心の中の僕”などと呼んだのか。

答えは、一同が想像するよりは単純だった。


『いやいや、それは《冴える》が“僕”だからだよ。僕の意識に組み込まれるように、僕が頭を“回転させる限りはオートで発動するいわばサポーターってわけ。僕の意識下にあるんだから“僕”でしょ？』



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