1. Incident ページ19
張られた頬を赤くしたラウールが、床にぐったりと溶けるように倒れている。
助けようと必死にもがく度に自分を拘束する人数は増え、結果4、5人に取り押さえられた高地はすっかり疲れ切っていた。何が起きたか分からない以上身体に余計なことをしてはいけないのは分かっているのだが、疲労で頭が回らない彼は「起きて...」とラウールを軽く揺さぶった。
謎の液体を注入されたラウールはそのまま泣き喚き続けた後、どんどん声を細くしてついには失神した。その様子があまりにもショッキングで動けなくなり、大人しくなった彼らを軍人は無理矢理引っ張って部屋へ押し込んだ。
肩周りが熱い。なんだかべっとりした感覚に、誘拐された際に刺された肩の傷口が開いてしまっていることに気がついた。
「ねえ、ラウール...起きて、」
腕が拘束されているので、行儀悪いかとは思うが膝で揺さぶる。それでも、泣き跡のついた幼い顔はぴくりとも動かない。
歳上だからと先陣を切ったが、どんどん心細くなっていく。言い表せない寂しさを抱えながら膝を折って俯いた。試しにテレパシー飛ばして仲間を交信できるか試したがなんの音沙汰もない。次第に頭痛がしてくる様に、本当に嫌になってしまった。
「皆まだなの...?遅いよ...」
誘拐されてから何日経ったのか分からないが、途方もない不安に覆われて随分時が長く感じられる。5人と出会うまではずっと1人でいたはずなのに、どうしてこうも寂しがり屋になってしまったのだろう。
全部あいつらのせいだ。意味わかんねえ気味悪い神だとか神父だとかを見せられて、こっちまで頭がおかしくなってしまってるんだ。いつもだったらこんな奴ら蹴散らしてさっさと帰るのに、いつもだったら、いつもだったら...
ー...いつものように、みんながいない。
じんわり目の縁が熱くなるのを感じると、目の前の彼が少し身動ぎした。
パッと顔を上げると、なんとなく目を開けようとしている。
「、うぅ.....」
「ッラウール...?ラウール!
大丈夫?痛いところはない!?」
すぐに近寄り必死に声をかける。
ラウールは少しぼんやりとした後、次第に目の焦点をはっきり結んだ。ゆっくりと高地を見て、2、3度瞬きをして言い放った。
「..........誰...?」
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
