1.◆Clear ページ14
西側に位置する9区は、天都と廃都含む全ての天候が穏やかなことが幸いだった。廃都は悪天候を防ぐ整備が整っているわけがなく、砂嵐や豪雪雨で傷んでいる建物が至る所にちらばっている。かき集めた資料の中に混ざりこんでいた9区の写真に写る建物が比較的綺麗な状態なのは、ほどよい日照りと雨のおかげなのだろう。
「その代わり、隠れづらいってことだよ。」
北斗が数少ない写真を参考に地図を書く。ガリガリと鉛筆の削れる音がし、彼の手は黒く染まりかけていた。
「6区から9区までどれくらいかかる?」
「サナトリウムの位置によるけど、ざっと...2日はかかるかもしれない。」
「マジかよ...オイル足りっかな」
「弾も足んなくない!?マーケット行かなきゃ。」
9区に存在するサナトリウムは3つあり、それぞれ距離はある程度離れている。場所を間違えてしまえば戻るまでに結構な時間を要してしまうことから慎重に考える必要があった。
ずっと黙っていた京本は資料をペラペラと捲り、残り1枚で手を止めた。不思議に思った慎太郎が覗き込む。
「...ねえ、礼拝堂って何する場所?俺がいた所にはなかったんだけど。」
「そのまんま、神を礼拝する場所だね。政府が所有してると礼拝堂って名前になるだけで、内容は協会同じだよ。」
「政府が所有...。」
京本のいたサナトリウムは協会と名乗られる建物1つがぽつんと建っていた。ということは政府の手が届いていなかったということであり、あの騒動で自分が逃げられたのは軍人の到着するスピードが少し遅れていたからなのだろうかと考えた。
ー我らのような神の御言葉に従う信徒は...
「...あの軍人、自分のことを信徒って言ってたよな?」
「どういうこと?」
手を止め顔を上げた北斗の言葉に、ジェシーは首を傾げて聞き返す。
「軍人が信徒ってことは、神に祈りを捧げる機会がある訳だから...礼拝堂に頻繁に行き来してるはず。
もし前捕まえた奴と同じような軍人が集まってるとしたら、高地は礼拝堂のあるサナトリウムに連れていかれたって考えるのが妥当じゃない?」
ダトウって何?当てはまるってこと。そんな会話を挟んで目的地が明確になる。自作の地図の角にある1つの建物には赤いペンでぐるぐると囲われ、更に周りの様子を明らかにしようと北斗は再びペンを持った。
「そこだったらガソリン足りねえわ!買ってくるからついてきて。」
樹はぼーっとしているジェシーの手を引く。
「えぇっ俺も?」
「バカ、荷物持ちだよ!」
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もえなっとう(プロフ) - 藤菜さん» こんばんは!いえいえ全然大丈夫ですよ!?いつもありがとうございます! (2021年1月28日 20時) (
レス) id: 9d4a7bc2ed (このIDを非表示/違反報告)
藤菜(プロフ) - こんばんは！余計な事を言ってしまってすみませんでした！続きを楽しみに待ってます！ (2021年1月28日 19時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえなっとう | 作成日時：2021年1月28日 18時
