ノスタルジア (ページ3)

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家に帰って、言われた通りの時間温めた豆腐ハンバーグは疲れた身体に相当染みて、涙が出そうになるほど美味しかった。

誰かの手作りの食事をすることが久しぶりな気がした。

「ガー疲れた！呑みて〜〜」
「まだ15時だけど」
「なんで時間言うの！？気にしないようにしてたのに！！」

隣のデスクの松田がそう言ってPCの上に突っ伏してそのまま動かなくなった。そんな彼の足元には今日はコンビニの袋が置いてあって、女の子の手作りじゃないの珍しいなんて考える。

「よし、A今日呑み行こうぜ」

ガバッと起き上がったと思ったら、こちらに椅子を向けて前屈みにそう言った。向かい側のデスクから女子からの鋭い視線を感じて、彼女らと目を合わせないように丁重にお断りした。

同じ部署に配属された同期は私たち2人だけだったから、距離が近くなるのは致し方ない事だけど、「2人どんな関係なの？」と給湯室で女子たちから詰められたなんて事もある

まるでドラマみたいな出来事で唖然としたけど、彼氏がいることを伝えたらまるで今までの圧が嘘だった様に、猫撫で声で松田と上手くいくように協力を仰がれた。

「んー今日はパス」
「何でよ！？」
「女の子と飲みたいんだったら他に候補居るでしょ」
「分かってないなあ。それはちげーじゃん、そういう事にならないって分かってるから楽なんだよ」

こんな話は絶対に社内で、しかもデスクでする話じゃない。

というか私にも一応彼氏がいる訳で、いくら同期とはいえ黙ってサシ飲みはまずいと思う。

…まあ、変わらず連絡は取っていないし行くと言っても二つ返事が来るだけなのはわかっているけど。

そんな無駄話をしていたら上司から松田に仕事の確認のことで声が掛かって、返事だけ元気にした松田がだるそうに席を立ったから、私もPCに向き合った。