ノスタルジア (ページ2)

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仕事終わりの水曜日。

週の折り返しに来たとはいえ、まだ折り返し地点なんだと軽い絶望に襲われながら帰路に着く

｢あー。どうしよ」

ネット記事を見ながら人気の無い道を歩いていると、コンビニに寄り忘れたことを思い出す。

今から引き返すのも面倒で今日は買い置きのカップ麺でいいか、とそのまま歩みを進めた

ーと。
毎日通る公園の隣に見慣れない小さな光が付いているのに気付いた
携帯をポケットにしまってなんとなく近寄ってみると「営業中」と書かれた看板がかかっていて何かのお店なんだと理解する

「…いらっしゃいませ」

光に導かれた虫のように恐る恐る入口に近付いてみると、私に気付いた店員さんが驚いたように顔を上げた後に小さな声でそう呟いた

「営業、してますか？」
「あ、はい…」

……歯切れの悪い返事。

開け放れた入口の奥にあるショーケースに並んだ鮮やかなお弁当と値段のプレートを見てお弁当屋さんなんだと分かる

店員さんは同い年。いや少し上くらいの男の人で眼鏡の奥からスッキリとした切れ長の目がこちらを怪しそうに見ていた。

「ーじゃあ、この豆腐ハンバーグ弁当ひとつ」

私の言葉にハッとしたように、我に返ったその人はショーケースからお弁当を取り出すと手際よく袋に入れて渡してくれた。

「お家で1分くらい温めて食べると、美味しいので」

会計をして私がお礼を言ってお店を出ようとすると後ろからそんな声がかかった。

驚いて振り返ると軽く会釈したその人とバッチリ目が合って同じように少し頭を下げた。