キスの後に…01≪purple≫ ページ6
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≪ 松本 side ≫
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『……松本さん。
好きじゃなくて良いから抱いてください』
酔っ払いの戯言と、片付けられないくらいに。
しっかりとした言葉遣いに、
「Aに、そんな事なんか出来ないよ」
「大事にしなきゃ」
「本当に好きな人としなきゃ」
なんて返すことしか出来ない俺に、苛立ちをぶつけるように
言葉を吐き出し、店を飛び出したA。
見知らぬ人に声をかけようとしてるAに、
思わず腕を引っ張り、車に押し込んだ。
＊
込み上げる、胸の奥底に隠したままの感情を
必死で自分に言い聞かせて押さえ込む。
Aは、大事な俺の部下。
大事な、前途洋々な自慢の部下………
部屋に入るなり対峙し、
見上げるAの瞳に 吸い込まれるように重ねた唇……
不慣れなAのぎこちないキスに、胸が跳ねる。
ふわりと鼻をかすめた、ピーチの香りに
現実に引き戻される。
鼻腔の奥の方に染み付いてる、アイツと同じ匂い……
＊
「松本さん以外に、誰も好きになんかなれないよ…」
って泣くAに。
全てを棄てようかと、一瞬思って。
僅かに残る理性を総動員して、首を振る。
「ちゃんと戸締りするように」
そう言って、部屋を出た。
………泣き声が聞こえる。
…泣き叫ぶような、そんな声に立ち止まる。
戻りたくなる衝動に従い、部屋へと体を向けた瞬間──…
胸元に入れたスマホが震え、
………現実に再び引き戻された。
スマホを取り出し、同期のニノからの。
「まだ送り狼はダメよ」って釘刺しラインに苦笑い。
背を向け歩き出し、湧き上がる焦燥感にも似た感情を
誤魔化すように、スマホをタップした。
＊
「───…で？」
「ん？」
「Aちゃんが向こうに行く前に好きだって
言ってやらねーの？」
ニノが、グラスの氷に視線を落としたままで呟いた。
そんなニノを驚き見つめたままでいる俺に
「バレバレだわ、毎日あんな顔してたら。」
って言われて思わず口元を擦る。
「一線超えなきゃセーフじゃん？
君ら、夫婦関係はとっくに破綻してんだし」
「でも、まだ、別れてはない。
紙の上では不本意でも、夫婦だから。」
そう。
……まだ、夫婦。
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もち(プロフ) - 久しぶりにお話読めて嬉しいです！お身体お大事にしてください！ (2021年10月19日 2時) (
レス) @page46 id: aec85bc555 (このIDを非表示/違反報告)
もここ*(プロフ) - たまりんさん» お読み頂きありがとうございます！ (2021年10月18日 16時) (レス) id: b403a3e65f (このIDを非表示/違反報告)
もここ*(プロフ) - 柚さん» お読み頂きありがとうございます！ (2021年10月18日 16時) (レス) @page46 id: b403a3e65f (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - もここさん、お話しありがとうございます。何か泣ける (2021年9月30日 18時) (レス) @page42 id: 0a1a6bc318 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - もここさんのお話が久しぶりに読めて嬉しいですー^_^更新ありがとうございます♪ (2021年9月30日 16時) (レス) @page42 id: b83af50be8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もここ
| 作成日時：2017年6月20日 9時
