#find out.28 ーShoー ページ28
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あのときはまだわからなかった。
「そしたら、どこからか俺を呼ぶ声が聞こえたの」
��紫耀くん��
そう呟くように俺の名前を呼んだのが、誰なのか。
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俺はずっと、何から逃げていたんだろう。
笑っていればなんとかなる。
笑っていれば誰も傷つけなくてすむ。
何があっても、笑っていればいい。
いつからかそう思い込んで、自分に言い聞かせてた。
それが自分自身を見失ってしまうと同時に
大切な人の顔を曇らせてることにも気づかずに。
──紫耀くんはずっと笑ってて
彼女の言葉を何度も胸の中で繰り返して
その言葉を支えにしてやってきた。
それが正しいと信じていたから。
そうすることでしか誰も守れないと思っていたから。
だけど
��無理に笑おうとしなくたっていいんだよ��
俺がずっと信じてきた言葉とは
正反対のことを口にしたキミの言葉が
俺の中の何かを一瞬にして壊していく気がした。
��辛いときは辛いって言えばいいし
悲しいときは思いっきり泣けばいい��
目にキラキラとしたものを浮かべながらも
俺を見据えるその瞳の奥は
今までにみたことのないくらい
強くて、まっすぐで、澄みきっていて
��誰も、平野くんを責めたりなんかしないから��
何もかも見透かされたような
だけどそれは全然悪い気なんてしない…いや、
それこそ俺が望んでいたことなのかもしれない。
ずっと暗闇の中から抜け出したかった。
明かりを灯してほしかった。
自ら創り出した壁も、潜り込んだ世界も
窮屈で、怖くて、寂しくて……壊してほしかった。
本当は誰かに見つけてほしかったんだ。
.
��紫耀くん��
「声のした方向に顔を向けたら光が見えて
導かれるみたいにそこに向かっていったんだ」
初めはわからなかったよ。
キミは俺のことをそんな呼び方はしないから。
でも、その光も声も、俺は知ってた。
あたたかく優しくいつでも俺を照らしてくれる
魔法みたいな耀きをもつ、何よりも大切なもの。
だから不思議と安心して向かっていけたんだ。
「そして目が覚めたら、Aちゃんがいた」
そのときキミが目の前で叫ぶように繰り返すのは
��平野くん��という聞き慣れた響きだったけれど
あのとき、確かに俺を呼んだのは──
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
