#find out.3 ページ3
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気づけば口に出していたその問いに
足を止めて振り返った海人は
驚いたように真ん丸にした目をパチパチとさせたあと
あたりまえのようにその言葉を放った。
『ねーちゃんが好きだから』
無垢で、純朴で、なんの混じり気もなく
ただ真っ直ぐに向けられた言葉。
『あたりまえじゃん！』
幼い頃からずっと後をついてきて
高校生になった今でも変わらない
��お姉ちゃんが大好きな弟��
そんなことは聞かずともわかっていたはずなのに
その言葉をなんの迷いもなく真っ直ぐに伝えられる
目の前で無邪気に微笑む海人が
どうしようもなく耀かしくみえた。
ほんのり冷たくやわらかい風が
ふわっと頬を撫でて通り過ぎていく。
『お腹すいた！早く帰ろ？』
再び前に向き直った海人の
大きな背中を追いかけて隣に並ぶ。
「海人」
『ん？』
「ありがとう」
ちらっと見上げた先の海人は
満足そうに頬を緩めながら遠くの空を眺めていた。
隣で鼻歌を歌う海人の声がなんだか心地いい。
その声に聞き入るようにしばらく歩いていると
不意にその音が途切れて
何かを思い出したように海人が口を開いた。
『本当は今日ももっと早く行くはずだったんだよ？
なのに今日に限ってHR長いし掃除当番だし』
横で口を尖らせている海人の言葉を
少し不思議に思う。
「今日も、ってことは……」
『俺、昨日も病院行ったんだよ？』
「えっ？そうだったの？」
そういえば、私は長い時間眠っていたんだった。
『ねーちゃんが事故ったって聞いて
あれは体力テストのときより本気で走ったね』
せっかく来てくれたのに申し訳ないと思いながら
「ごめんね」と呟けば、返ってきたのは
思いもよらぬ言葉だった。
『まぁ俺が駆けつけた時には、れん兄がいたけど』
「廉……？」
突然こぼされた名前に
脳が瞬時にあの日の記憶を手繰り寄せる。
そして、思い出す。
どうして今まで忘れていたんだろう。
そうだ。
私はあの時、廉に会いに行こうとしてたんだ。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
