#find out.19 ページ19
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「「さようならー」」
絶妙なテンションで廊下に飛び交う��別れの挨拶��を
毎日あたりまえのように耳にしていると
「さよなら」ってそんな悲しい言葉じゃないんじゃ
ないかと錯覚のようなものに陥る。
足早に教室を出て、すれ違う先生たちに
自分も"さよなら"を繰り返しながら向かった昇降口。
靴を履き替えてカバンを持ち直すと
「よしっ」と小さく気合を入れて足を踏み出した
そのとき
『A！』
背後から聞き慣れた声が私を呼んだ。
「あ、神宮寺。どうしたの？」
振り返った先には、さっきまで同じ教室にいた
お馴染みのアイドルスマイル君。
『今から行くの？紫耀のとこ』
少し驚きながらもコクリと頷けば
そのアイドルスマイルをさらに輝かせながら
颯爽と上履きを脱いで下駄箱に放り込んだ。
『一緒に行こうぜ』
「えっ？空手は？」
毎週月曜日、神宮寺は学校が終わるとすぐに帰る。
見た目からはあまり想像できないけれど
ずっと空手をやっている神宮寺は
部活には入らず習い事として力を入れてるらしく
その腕前はなかなからしい。 信じてないけど。
『仮病☆』
わざとらしく謎にキメてきたウインクを無視して
門に向かって歩き出すと
ギャーギャー言いながら慌てて追いかけてくる。
ジンくんバイバーイ！
どこからか飛んでくる女子の変に高い声に
今日も無駄に爽やかな笑顔を振りまいて
その方向に手を振りながら隣に並ぶ彼に
ずっと抱いていたどうでもいい疑問が
ふと脳裏を過ぎって首を傾げた。
「神宮寺ってさ、なんで彼女いないの？」
実はモテないの？と隣を見上げれば
てっきり反論してくると思っていた神宮寺は
キョトンと丸くした目をパチパチと瞬かせていた。
『逆に俺に彼女いたら何とも思わないの？』
真面目な顔して聞いてくる神宮寺の言いたいことが
いまいち分からなくてさらに首を傾げれば
なぜか大きな溜め息が降ってきた。
『Aが何も思わないなら尚更彼女いらねぇわ』
呆れたように少し歩くスピードを早めた神宮寺の後を
ちょこちょこと着いていく。
「え、どういう意味？なんでちょっと怒ってんの？」
『怒ってねぇわ』
なんだかよくわからないまま
少し機嫌の悪くなった神宮寺と
頭にハテナを浮かべたままの私を
春の夕暮れの生ぬるい風が包み込んだ。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
