#memory.39 ページ39
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その影は目の前でピタリと止まり
「どう？うまくいった？」
小さく息を切らしながら
大きなタレ目をパチパチさせて
廉と海人を交互に見比べているその子が
どうやら廉の友達らしい。
廉「おん！よゆーやったわ！ちょろいちょろい！」
「はぁ〜怖かった〜」
胸を撫でおろして
ほっとしたように微笑んだその子が
その様子をぽかんとみつめていた私に気づいて
ゆっくりと顔を向けてきた。
「あ！噂のAちゃん？」
潤った瞳をキラキラと輝かせて
私の名前を呼ぶその子をじーっとみつめる。
夜の暗さの中でもわかる透明感と麗しさ。
廉の、友達？……彼女？
廉「そいつ、俺と同じクラスの玄樹」
げんき…？廉が放った言葉に
もう一度、目の前のその子に視線を戻す。
言われてみれば
しっかり男の子らしさもある中性的な顔立ち。
玄「よろしくね！」
ニコッと笑ってできたえくぼを眺めながら
差し出されたその両手にそっと自分の手を重ねると
ギュッと握られた手にふんわりと熱が伝わってきた。
玄「なんだ〜。廉がボロクソいってたから
もっと違う感じの子イメージしてたんだけど…
なるほどね、愛情の裏返し的なやつね」
握っていた手を離しながら
かわいいじゃん、なんてサラッと言う彼に
勝手に謎の敗北感を感じる。
ん？
ボロクソ…？
いつのまにか私から離れた場所に立っていた
廉を睨みつけると、廉は澄ました顔をして
わざとらしくそっぽを向いた。
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作者名：N | 作成日時：2019年11月15日 23時
