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#memory.19 ページ19
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沈黙に耐え切れず、恐る恐る顔を上げると
驚いたように目をパチパチさせていた平野くんが
ゆっくりと口を開いた。
『恋？』
「えっ？」
『いや、好きな人はめちゃくちゃいるんだけど
その、Aちゃんが言ってるのは恋の方かな？
と思って』
こんなときでも天然をかましてくる平野くんに
拍子抜けしたものの
真面目な顔して首を傾げている目の前の彼を見て
そんなところも含めて好きなんだと、改めて思った。
「えっと……うん、恋の方」
胸の鼓動が早くなるのを感じた。
��いるよ��
��いないよ��
次に彼が発する言葉はどっちだろう。
どっちだろうと、きっと何も変わらない。
私はただ彼を想うだけで、何も変わらない。
はずだった。
『Aちゃん』
「え？」
『俺の好きな人、Aちゃん』
彼の瞳が、まっすぐに私を捉えた。
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作者名：N | 作成日時：2019年11月15日 23時
