雨上がり、君とランデヴー。 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:11,246 hit

004 ページ4

．

．

チラチラと松村さんを見る事をやめられない。

『うう、今日もかっこいいよう』

そう呟いてふと手を見れば

なぜか祈ってるわたし。

推しが居るってこんな世界なんだな。

『え、無理なにあのはにかんだ顔』

接客中の彼だってもちろん凝視。

「ほんと笑うわ」

店内掃除なのかまた田中さんが近くを通って

わたしに向かってボソッと呟くから

『田中さん～』

「どした」

『お水ください

もう推しが尊すぎます』

「北斗のこと推しって言うのやめれる？」

そう言いつつも水を取りに戻ってくれる。

「あの、」

『え！え、えっとあの』

「水ですよね？」

水を持って来たのは松村さんで

『あの、まだ心の準備が』

「水を飲む？」

淡々とわたしのコップに水を注いでくれてる。

田中さん！ありがとう！

でも、でもね、話すには心の準備が必要だよ？

『いや、違って』

「はい、どうぞ」

動揺するわたしに、ふっと笑って

コップを差し出してくれる松村さん。

受け取る時に少しだけ触れた手には

熱が籠ってジンジン熱くなる。

「ごゆっくり」

『あ、ありがとうございます』

松村さんを探すくせに

いざ向き合えば上手く話すことも出来ないらしい。

．