私立畑農業高校すとーりー【畑】 (ページ17)

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【DAY15】 . ページ17

Aside

入学二日目。

昨日はいろいろあって大変だった。

だいちさんとはじめさんを避けるために昨日より一本早めの電車にのる。

わりとすいていた。

私は奥で仮眠しているともくんを見つける。

起こしたらまずいかなと思いつつ隣にさりげなく座ってみる。

ト「...Aちゃん...ん」

まさか起きてた？

ト「...Aちゃん...だいちくんとか関係が...疲れたら...いつでもぼｋ...僕のところにおいで...」

半分寝てるな。

『ありがと』

ともくんすごい頼りになるな。

でもだいちくんや先生はじめくん、龍昇くんになにかされたわけでもないんだよな。

でもなんか怖い...

ト「Aちゃんはなんで農業高校に？」

そんなの考えてなかった。

だって私は...

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

数年前＿＿＿中学一年のことだった。

私は学年でもわりとモテる男子と付き合っていた。

登下校はいつも一緒。

帰ったらおたがいすぐにLINE。

まわりも認めるクラス公認カップルだった。

夏休みに入ると彼氏とはずっと一緒に遊んでいた。

でも大好きなおばあちゃんの体調が急変した。

私は彼氏のことなんて忘れて一日中看病した。

でもそれからおばあちゃんが目を開けることはなかった。

お葬式でいっぱい泣いた。

おばあちゃんが旅立ってから3日たったころだろうか。

私のケータイの着信音が響く。

彼氏からだった。

私はすぐに出る。

『もしもし！最近会えなくてごｍ...』

彼氏「もしもし。話は聞いたよ。Aが謝ることないよ。」

『うん...』

彼氏「謝んなきゃいけないのは俺の方だから。」

『どういうこと...？』

彼氏「別れよう。」

『なんで？...私が会えなかったから？』

彼氏「それもあるんだけど。俺、かほと付き合うことにした。」

かほ...それは私の一番の親友...

涙が一つ、二つと流れていく。

私は耐え切れず電話を切った。

なにもかも奪われた中一の夏休み。

私が変わってしまったのはその日からだろう。

雨のように零れていく涙はただの水にかわっていた。