世界を変える ページ10
「何か…あったの。」
まるで向日葵のように明るい君が涙を流すとしたら
その理由は一つしかないはずだった。
それを知っていながら、そう聞いた自分がどこか情けなくて
僕は月明かりに照らされる君の肌だけを見つめていた。
「ううん、何もないよ。…あのさ。」
この時、君は漸くこちらを見た。
これほどまでに君と目を合わせることを怖いと感じたことは、初めてだった。
「この間は怖くないって言ったけど、やっぱり怖いって言ったら、笑う？」
「…何を？」
「んー…死ぬこと！」
そして君が紡ぐ言葉に
僕は今すぐにでも踵を返して、階段を駆け下りたい気分だった。
「笑うもんか。僕だって君が死ぬのは怖い。」
だけど僕だって
一生懸命君に言葉を紡ぎたい。
君が違う世界で僕にくれた言葉の分だけ
僕だって君に何か、残したい。
「はは、そう？」
君は、僕の言葉をまるで本気にしないようにそう言った。
あまりにも軽く受け流されてしまったことが
少しだけ悲しかった。
「私、終わりたくないの。毎日が幸せすぎて、明日が楽しみすぎて、昨日のことを思い出す時間も大好きで…うん。だから、死にたくない。」
「まだ…先のことじゃないか。」
もう、あとたった一ヶ月と少ししかないことを僕は知っているのに
僕の喉からやっと湧いて出た言葉は、あまりにも気の利かない言葉だった。
「じゃあ、私がもうすぐ死ぬって言ったら、どうする？」
そんな僕を虐めるかのように、君は言う。
だから僕は、必死になって考える。
「君がもうすぐ、死ぬ…なら。」
君に届く何かを、天秤仕掛けの脳をフル回転させて、探す。
「僕は楽しいことに笑ったり、悲しいことに泣いたり…そういうことは苦手だけど、」
これがベストな回答かは、分からないけど。
こんなことを言うのは、らしくないけど。
「だけど僕は、君の幸せに生きたい。」
君の恐怖や不安の一端を
僕にだって背負わせてほしいんだ。
「僕は君の未来を変えるために足掻き、君の世界を変えるために踠き、そして君の幸せに生きる。それが僕の、唯一のエゴだ。」
僕を変えたのは君だから
それを君自身に証明するために、僕はこのエゴを一生をかけて貫きたい。
運命が何を言おうとも
僕は君のいない未来を信じない。
やがて君のいない世界がやってこようとも
僕はこの手で、世界を変える。
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ｶﾄﾗｵ - はじめまして！！もちまるさんの小説に出会えて毎日仕事終わりに読むのが楽しみで仕方ありません。まだ全部読み切っては無いのですが、感動とドキドキの展開を毎日楽しみにしていることだけどうしても伝えたかったのでコメントを残します。 (2020年7月22日 21時) (
レス) id: eccc16e070 (このIDを非表示/違反報告)
miginoaoi(プロフ) - 全部読みました。ボロ泣きしてしまいました…すごく切なくて感動する話ですね。続気が気になりました！今は無理でも貴方様の更新をずっとまちます！ (2020年1月15日 0時) (レス) id: 5d51d334c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン！(プロフ) - 作者様の作品は全て読ませていただきましたが、完全に虜になりました。言葉選びが繊細で、儚くて、思わず世界に入り込んだ気分で読んでしまいます。こちらの小説なのですが、co shu nieというバンドのアマヤドリという曲がピッタリだったので、伝えてしまいました。 (2020年1月6日 19時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - 初めまして。この小説を読んで泣きました。もちまる。さんの小説がとても大好きでずっと待ってました。これからもずっと応援してます！ (2019年12月24日 23時) (レス) id: 07b14ef242 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ☆(プロフ) - 初めまして。君の脳になりたいの方を読んで此方にきました。私、本や映画を見ても絶対泣かないのに、この小説と君の脳になりたいの小説では泣きました。私は今不登校で、死にたいって思ってたけど、これを見てまだ頑張ろって思えました。何年でも待ってます。頑張れ！ (2019年11月28日 14時) (レス) id: 65ed62dd2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年8月12日 21時
