うまくいかない ページ46
君が幸せなら、何でもいいだとか
君が生きているなら、それだけでいいとか
物語の主人公みたいな綺麗事を心から思うほど、僕は出来た人間じゃない。
ムカつくし、遣る瀬無いし、泣きたくもなる。
今すぐこの道を走って戻り、あの二人の間に割って入って
君を拐ってしまいたいくらいだ。
だけど、今日だけは我慢してやる。
僕は明日、つまり別世界の君の命日に
君の命の続きを描く。
それは、僕にしか出来ないことだから。
この世界で君の命を救えるのは、僕だけだから。
特別に君を、救ってあげるよ。
「あ…野坂くん。」
その日の夜
夜風に当たりに外に出ていた僕の元を、君はふらりと訪れた。
「………。」
「明日、決勝戦だっけ！頑張ってね。」
君はやっぱり、そう言った。
「…何故そんなことを言うの。」
だから僕はやっぱり、こう聞いた。
「知っているんでしょ。僕の、サッカー。」
「え…うーん、まぁ。」
君はバツが悪そうに笑った。
その笑顔の解は、多分こうだ。
“酷いプレーで人をたくさん傷つけて、最低で卑怯なサッカーだね。”
きっと合っている。
どうせ合っている。
「僕は“そういう”類の人間なんだよ。勝利のためには手段を選ばない。情もなければ人間らしさの欠片もないんだ。だからあまり、君も僕には話しかけないほうがいい。」
馬鹿だな、僕は。
こんなことをタラタラと君に垂れても
君を困らせるだけだというのに。
「…苦しいの？」
君が僕の試合を見にきた日のように
君はそう聞いた。
「あのサッカーをしたことが苦しいの。野坂くん。」
「…うるさい。黙ってくれ。」
その日と、一字一句変わらない会話を
僕らは交わす。
重なってほしいのは、こんなところじゃないというのに。
「黙らないよ。」
「黙れと言っているんだ。」
「黙らないよ！！」
ああ、馬鹿なのは
君も同じだな。
こんな僕のために、どうしてそんな瞳をするの。
「ねえ。どうして自分に嘘をつくの？自分に嘘をついてまで、野坂くんは何を成し遂げようとしているの。」
その言葉が、ぐさりと胸に突き刺さった。
僕はただ、君という人間の命を救いたかっただけだった。
君と生きていたいだけだった。
怒らないでよ。
僕は、君の幸せに生きてみたかっただけなのに。
ただ君のことが、好きなだけなのに。
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ｶﾄﾗｵ - はじめまして！！もちまるさんの小説に出会えて毎日仕事終わりに読むのが楽しみで仕方ありません。まだ全部読み切っては無いのですが、感動とドキドキの展開を毎日楽しみにしていることだけどうしても伝えたかったのでコメントを残します。 (2020年7月22日 21時) (
レス) id: eccc16e070 (このIDを非表示/違反報告)
miginoaoi(プロフ) - 全部読みました。ボロ泣きしてしまいました…すごく切なくて感動する話ですね。続気が気になりました！今は無理でも貴方様の更新をずっとまちます！ (2020年1月15日 0時) (レス) id: 5d51d334c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン！(プロフ) - 作者様の作品は全て読ませていただきましたが、完全に虜になりました。言葉選びが繊細で、儚くて、思わず世界に入り込んだ気分で読んでしまいます。こちらの小説なのですが、co shu nieというバンドのアマヤドリという曲がピッタリだったので、伝えてしまいました。 (2020年1月6日 19時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - 初めまして。この小説を読んで泣きました。もちまる。さんの小説がとても大好きでずっと待ってました。これからもずっと応援してます！ (2019年12月24日 23時) (レス) id: 07b14ef242 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ☆(プロフ) - 初めまして。君の脳になりたいの方を読んで此方にきました。私、本や映画を見ても絶対泣かないのに、この小説と君の脳になりたいの小説では泣きました。私は今不登校で、死にたいって思ってたけど、これを見てまだ頑張ろって思えました。何年でも待ってます。頑張れ！ (2019年11月28日 14時) (レス) id: 65ed62dd2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年8月12日 21時
