夢の後先 (ページ48)

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atosaki 48 ページ48

【you】

2017年12月

「「「「カンパーイ！！！！」」」」

クリスマス会兼忘年会と称して、剣道部の同期4人が久々に集合した。

カオルは既に某編集社でアルバイトを始めていて集合時間に遅れてきたと思えば明日も朝から仕事らしいし。コーイチとシンヤはそれぞれ一般企業に就職が決まっているものの、単位やら卒論に追われているみたいだし。

もちろん私は国家試験へのカウントダウン真っ只中だし。

「・・・集まって騒いでる場合なのか？」
「大丈夫、ここに居る全員がそう思ってる」

今日は皆で現実逃避だ！

こちあんまり遅くならないようにね
こちそれから、連れ込まれないようにね

スマホの待ち受けに現れた過保護な文字たち。連れ込み癖があって危険なのは、むしろアナタのほうじゃないですか？

コーイチ「え、なに？オトコ？彼氏？」
カオル「マジ！？」
コーイチ「Aに彼氏とか・・・」
シンヤ「明日、地球が終わるかも・・・」
「うっさい！彼氏じゃないわ！」
シンヤ「ですよね」
「いや、それはそれで失礼」

3バカに背を向けて「女扱いされてないから大丈夫」と返信し、スマホをバッグに仕舞った。

カオル「・・・」

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【yugo】

女扱いされてない・・・ねぇ。

無自覚娘はこれだから困る。ここまで重症だと男としてはもちろんだけど、保護者的目線で心配になってくる。

「Aちゃん？」
「うん、今日は部活の忘年会だって」

たまたま事務所に居た健人。俺はなにも言ってないし健人もなにも訊いてこない。なのに会話が成立するのは何故だろう。

「オトコまみれやん」
「逆ハーだよ」

いいの？と耳打ちしてくるけれど。

「ダメって言える立場じゃねーし」
「あら、そーなの？」

オネエかよ。

「なあ・・・」
「ん？」
「こーいう仕事の一人前って何処なんだろな」

会社員だったら社内の絶対的評価があるだろうし、個人事業主だったら売上みたいなモノとか。人によって目指すところは違っても。

「目に見える軸があるじゃん？」

CDの売上とかライブの箱のサイズとかって言ってもさ。俺の評価じゃなくてSixTONESの評価だし。そもそもCD出せてないし。

「難しいね」
「・・・」
「答えになってないかもしれないけれど」

真面目に考えれば考える程、遠くならない？

「・・・確かに」
「でしょ？だからさ」

自分で評価軸を決めるしかないんじゃない？

「・・・そうだよな」

このままずっと俺の我儘を押しつける訳にはいかないんだ。