夢の後先 (ページ47)

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atosaki 47 ページ47

【you】

A報告遅くなってすみません
A内定もらいました

すっかり遅くなってしまった先輩への報告。

保護者みたいな先輩だから、就職決まったなんて伝えたら電話が来ちゃうし、下手したら本人が来ちゃう。そうしたら「何も訊かれない」という選択肢が無いような気がして、つい逃げてしまっていたのだが。

「健人に連絡してやりなね」
「でも・・・」
「俺のこと訊かれたら話して構わないから」

・・・後で俺が説教されとくよって。

あの後。朝ごはんを食べて二度寝して。お互いのことをいっぱい話して・・・えーと、その、ちょっとまたイチャイチャもして。

これから忙しくなるこーちさんと1月末に社会福祉士国家試験を控えた私の次の約束は「合格祝い」だ。発表は3月15日だけれどすぐに卒業式があって、またすぐに入職。アルバイトも長期休みにしかしたことがない私には、社会人がどのくらい大変なのかとか全く想像がつかなくて。

「だいぶ先になっちゃうかも」
「ん・・・解った」

こーちさんを待つんじゃない。私も一緒に頑張るんだ。

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【kento】

久しぶりにAちゃんから連絡が来て。しかも希望してたところの内定貰ったっていうから。

「はあ・・・やっぱり掛かってきた」

そりゃあ電話くらいするでしょ。

就活が終わっても国試が残ってて。俺にはよく解らないけれど、国試に落ちたら就職もぶっ飛んじゃう仕組みらしく。

「年が明けたら土竜になります」
「何それ」
「インフルエンザで試験受けられないとか絶対無理だもん！だから誰とも接触しないで家に籠もります」
「へえ・・・じゃあさ」

高地とも会わないの？なんて訊いてみる。理由はたった1つ。君のことが心配だから。

「会いません・・・でも」
「でも？」
「昨日、一緒に居ました」

前に高地の話を振った時は何かを隠しているのがバレバレだったのに。電話越しに聴こえてくる声は明るく堂々としていて。

ふたりがどういう着地点に落ちついたのかは知らなくても。

「よかったね」
「・・・はい」

これでいいんだ。

「あ、1つだけ」
「はい？」
「写真、気をつけなよ」
「写真？」
「ゴシップ系」
「別に付き合ってる訳じゃ」
「アイツらにはそんなの通じないから、ね」
「・・・はい」

俺はどちらにとっても先輩だからね、なんて偉そうにアドバイス。

・・・しくじるのは自分のほうで。近い将来Aちゃんを苦しめることになるなんて全く想像もせずに。