夢の後先 (ページ38)

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atosaki 38 ページ38

【yugo】

2017年10月

ありがたいことに秋も忙しくさせて貰っていて。今は「少年たち」のあれやこれやに追われている。

Aこーちさああああん

気まぐれに来るAちゃんからの連絡。まあ俺も気まぐれに連絡するからお互い様か。

A明日、最終面接うううう

就活真っ只中のAちゃんが”第1志望に振られた”って、この世の終わりみたいな声で電話してきたのが数日前。明日のところがダメだと県外になっちゃうから引っ越さなきゃないそうで。

住んでいる街が気に入っているから、絶対に負けられない闘いなんだとか。

こちそーかそーか、落ち着いてね
A無理!
こちせーの横浜最高!
A最高!!

困った時の謎コールアンドレスポンス。

こち今やってる舞台が終わったら時間できるから、お祝いしてあげるよ
Aなにその採用前提な感じ

そろそろ会いたくなってきた・・・かもしれない。

こち結果っていつ出るの?
A1週間後だって
こちじゃあお祝いは来月かな
A了解!これから本気出す!
こちいや、最初から出そうね

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【you】

こーちさんとは気まずくなるどころか、だんだん仲良くなって。

だから私は夏の出来事もモヤモヤした感情も、そして過保護なこの人のこともすっかり忘れ・・・てはいないけれど、完全に頭の片隅に追いやってしまっていた。

なかじまおーい、生きてるかー?
A生きてまーす
なかじまうん、ならばよろしい
A生存確認?
なかじまお土産配達確認

なんだかんだで構ってくれる先輩。私は本当に周りに恵まれているというか、ジャニーズに恵まれている。

果てしなく意味不明な状況だけれども。

次の日の夜、久しぶりに先輩がうちに現れた。お約束のご当地キティを持って。

男との宅呑み禁止を遵守して紅茶とパウンドケーキを出す私。なんて素直な後輩なんだろう。

「手作り？」
「はい」
「流石だね」
「最終面接で溜まったストレスを小麦粉にぶつけてみました」
「・・・なんか特殊なモノが練り込まれてたりする？」
「食べられないモノは入れてません」

パウンドケーキにフォークを刺して、一瞬躊躇する先輩。

「・・・普通にうまいじゃねーか！」